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2023.02.28

わたしコラム|イロトリドリの世界〜オレンジ[Orange]〜

 

C0 M60 Y100 K0 / R230 G121 B40

色の名前について

色名の由来は、もちろん果物の「オレンジ」から。日本では「橙色」という別名も。オレンジと橙色は、JIS規格的には全く一緒の色なのだそうです。「橙(ダイダイ)」が常用漢字にならなかったため、「オレンジ」と呼ばれるように。ちなみに常用漢字が定められたのが1923年(大正12年)のことで、日本で “オレンジ” 呼びが始まって(厳密には違うでしょうが)およそ100年。思っていたより昔から “オレンジ” は使われていたのですね。

ちなみに果物の「橙」は鏡餅のてっぺんを陣取るあいつ。みかんとそっくりですが、種があるのが大きな違い。橙から突然変異したのが、みかん。約400年ほど前の話だそうですが、「お家の存続」が大事だった江戸時代には種のないみかんは流行らずに、栽培が広まったのは明治期からなんだそうです。一般的な果実は、その実が熟したら地面に落下してするものですが、(植物の)橙は、一度実がなっても数年落ちないこともあるそうで。そのまま翌年の実が隣に並んでなることも。その様子は親子孫と“代々”続くイメージと重なって、縁起物として大切にされていたそうです。

最初に餅に橙を乗せた人はどんな気持ちで乗せたんでしょ?

*オレンジ色のイメージ

なんと言っても、The ビタミンカラー。
明るい/陽気/活発/健康的/楽しい/エネルギー/温かい/社交性/食欲増進 と単語を並べているだけで前向きな気持ちになれそうな色の代表色だと思います。ポジティブなイメージが多く、万人受けする色の一つでもあります。

*オレンジ色の使われ方

先に述べたように、オレンジは明るく楽しく万人受けする色。そのうえ食欲増進効果もあるので、飲食チェーンの店舗コンセプトカラーなどにはものすごくよく使われています。ファストフード店やファミリーレストランの座席や壁、店舗の装飾にオレンジが多用されています。明るく楽しい気持ちで、食欲増進してもらうことで、素敵な時間を過ごせた、という顧客の体験価値向上を狙ってのものなのは広く知られているかと思います。

デザインの仕事をしていても、大変お世話になっている色のひとつです。個人的には一番使っているんじゃないかと思う色です。デザイナーあるあるですが、色をCMYKやRGBの数値で大体どんな色かわかります。この世界で最初の頃に覚えたのが「M60 Y100」という数値。まさに今回ご紹介のオレンジ色。この色が派手なチラシの中で明るさや親しみやすさを伝えるために多様するのはもちろん、例えば高級なマンションのパンフレットでは、健やかで楽しい家庭を思い描いてもらうために使用したり、化粧品のパッケージにワンポイント加えることで健やかさを演出したりと、主役としても脇役としても、大活躍してくれています。

明朗でポジティブなオレンジ色は、流行や時代にかかわらず人を惹きつけ続ける色なのだろうと思うのです。

Written by
AKIRA KIKUCHI

DIRECTOR & DESIGNER

グラフィックデザイナーとして15年以上デザインに携わる。大手メーカーや官公庁をはじめ、カタログ、ポスター、ロゴ制作などグラフィカルなデザインを幅広く手がける。 近年はサイトデザインも手がけ、webデザインも対応。また、ディレクターとして、企画・提案から運営管理までのディレクションも担う。