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2024.03.01

クリエイティブに触れて|国立科学博物館特別展示『和食展』

クリエイティブに触れて 

科学の目で身近なものを見る楽しさ

日本近海のまぐろ 等身大

ずっと思っていた東京の水への違和感。

今回は、和食展に行ってきました。
最近お気に入りの国立科学博物館の特別展示です。

展示は2部構成で、前半が国立科学博物館らしい、和食を科学の目で紐解いていくもの、後半は和食に付随する農業や漁業、日本・世界の食文化の違いについてと和食にまつわるあれやこれや、というものでした。

展示の序盤はまず、日本ならではの素材にまつわるあれやこれを掘り下げるパート。

水の硬度、きのこ、山菜、野菜、と続きます。降った雨が比較的早く川になる日本の淡水の多くは軟水なのはよく知られていると思いますが、埼玉、千葉、東京、茨城、熊本、沖縄の水は、他の道府県に比べて硬度が高いのだそうです。20〜30年程前までは「東京の水は美味しくない」というのは、水質汚染と浄化処理能力の低さを指していましたが、田舎から出てきた私は、最近でも美味しくはないなあ、と思っていたので、この硬度の差による違和感を知って、初めて水の合わなさに納得したのでした。


きのこコーナー 〜 野菜コーナー

きのこコーナーでも実は知らなかったことがありました。トリュフやポルチーニ茸といったヨーロッパでは高級扱いされているものの仲間は、昔から日本にも生息していて、かつ、そんなに見つかりづらかったわけでもないのだとか。一方で、日本では珍重される松茸は、ヨーロッパでは昔からその香り(臭い)が嫌われているそうで。

ベニテングダケ(毒キノコ)(左下)の美しさたるや。。。うっかり食べちゃいそう(w

つづく野菜コーナーでは、大根が主役。確かに、日本の煮物で大根を使わないのは、カレーぐらいじゃないかというほど(カレーが「日本の煮物」かどうかはスルーしてください)、和食にはなくてはならない野菜。多様な種類の展示には、みなさんも興味津々で、ものすごい人だかり。国内の大根のダイバーシティ具合に改めて驚かされました。

大根ダイバーシティに魅入る、人間もダイバーシティ。老若男女・外国の方々も多数。

いよいよ「和食」っぽい世界へ

その後、米、大豆、魚介類、海藻、と和食を語るに外せない食材たちと日本の風土の解説が続き、発酵と出汁の展示へ。

意外とこまかいところまで知らない、お醤油・お味噌・日本酒・焼酎なんかの作り方が科学的に(結果、レシピっぽく)展示されています。個人的に目を惹かれたのは、醤油の色見本。鮮やかな色味本を見ながら、できれば味見したかった!

お醤油の色味本。グラデーションの美しさ!

前半展示を締めくくるのは、縄文からつづく和食の歴史と変遷。なかでも人気だったのが、今の和食の原型とされる戦国時代の御膳。写真は、1582年に織田信長が安土城に徳川家康を招いた際の御膳の一部を再現したものだとか。・・・あ!1582年って、これのせいで明智光秀が叱りつけられて謀叛になったきっかけのヤツじゃないですか!?・・え!?この豪華さでいちゃもんつけられちゃったの?

和食の原型。色鮮やか。

あとは、行ってみてください!

展示はここで大体半分ぐらい。この先も和食に関わる楽しい展示が続いていきます。
2024年2月まで東京で展示されたあとは全国を回るそうなので、機会があればぜひおすすめです。

和食展URL:https://washoku2023.exhibit.jp/index.html

前回の国立科学博物館の記事:https://carab.jp/verygoodtimes/articles/verygoodcontents/1097/

Written by
AKIRA KIKUCHI

DIRECTOR & DESIGNER

グラフィックデザイナーとして15年以上デザインに携わる。大手メーカーや官公庁をはじめ、カタログ、ポスター、ロゴ制作などグラフィカルなデザインを幅広く手がける。 近年はサイトデザインも手がけ、webデザインも対応。また、ディレクターとして、企画・提案から運営管理までのディレクションも担う。