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2022.10.18

わたしコラム|泥んこ奮戦記

アクティブ 

第30回日本山岳耐久レース(通称:ハセツネ)に参戦してきました。東京・奥多摩山系のトレイルを距離71.5km、累積標高差4582m、制限時間24時間、その間1回1.5Lの給水が受けられるだけで、基本的に補給食・水は自分で持って走るという、なかなかハードなレースです。ワタクシの中では1年の中で一番のビッグイベントと位置付けているレースで、かれこれ10年以上参戦しているのですが、ここ数年は台風やコロナ禍の影響もあって中止が続き、4年ぶりの開催となりました。

当日の天気予報は雨。「雨の山は嫌だなぁ」と思いつつ、久しぶりの高揚感と、この4年間での急激な体力の低下に隠しきれない不安を抱えながら午後1時によーいドン!スタートしてしばらくは曇り状態で、気温も涼しく、順調にペースをあげながら進んでいたのですが、天気予報通り夕方前から雨が降りはじめ、徐々に本降りになり、そして土砂降りへ・・・。そのうち日暮で暗くなり、トレイルはドロドロの沼状態になっていくし、雨のせいで体温が奪われ、動いても寒くてたまらない最悪のコンディションに。いつもなら走れる区間も泥沼のせいで一歩一歩確かめながら進まなければならないありさま。登っても元の位置に滑り落ちたり、滑ったら最後、下まで止まれない下りだったり。また、転んで落ちたら痛いでは済まない危険な場所もあるので、必要以上に心身を擦り減らし、もがきながら、とにかく慎重に前へ前へと歩を進めていたのですが、下りでふと気を抜いた瞬間!?ついに盛大にすっ転んでしまい、その時に右手首と右足首をしこたまやってしまいました。なんとか斜面を転げ落ちることは免れたのですが、激痛のため、あえなくそこで戦線離脱。そしてDNF。ワタクシの一番のビッグイベントはあっけなく幕を閉じたのでした。

せっかく4年ぶりの参戦だったにもかかわらず、完走することができなかったことは悔しさ一杯ではありますが、コンディションが最悪だったとはいえ、やはり一番の敗因は自分の体力不足と気持ちの弱さにあると思っています。ここ数年は仕事の忙しさにかまけてトレーニングを怠っていたこと。また、以前は置かれたどんな環境の中でも常に自分を追い込むことができたのに、今はそれができなくなっている精神的な弱さ。そして泥沼の中ですっ転んで立ち上がった時、その事を思い知らされた瞬間でもありました。これを糧にもう一度心身ともに鍛え直して来年のリベンジを誓う今日この頃です。

Written by
TAKESHI ITOH

DESIGNER

広告デザイン一筋に、各種クライアントの雑誌広告、新聞広告、ポスター、パンフレットなどの商業広告から、イベントブースの設計・デザインなどの制作業務全般に携わる。現在もグラフィックデザイナーとして現場を兼ねつつ、アートディレクターとして、企画・提案から制作・進行管理までを担当。