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2023.08.01

クリエイティブに触れて|「大阪の日本画」

クリエイティブに触れて 

先日、東京ステーションギャラリーに「大阪の日本画」展を観に行ってきました。正直いうと関西生まれのワタクシにして大阪の日本画というのはあまりピンとこなくて、日本画といえば京都、江戸(東京)というイメージしかなかったのですが、行って観てビックリ仰天(というのは失礼なのですが・・・)!なんと素晴らしいことか!

これまた失礼な話ですが、知っているといえば北野恒富くらいで、知らない画家さんがほとんどでしたので、興味を絞りきれないまま、そのまま最後まで行ってしまうのでは?と少し危惧していたのですが、近代大阪の日本画が各会派ごとに展示されていたので、体系的にも大阪画壇を理解することが出来ましたし、何よりもほとんどが初見なのにもかかわらず、その圧倒的な画力と個性豊かな表現にぐいぐいと引き込まれてしまいました。京都、江戸によくある少し行儀が良くて格式ばったものではなく、市井の暮らしや風物など自由闊達な表現と気取りのない身近さを感じるものが多いのも、商人の町・大阪という独特の文化から来るものなのかもしれませんね。なにしろ画派に「船場派」というのがあるくらいですから。

それに女流画家さんが多いのにも驚きました。その時代、大阪では富裕層のあいだで子女に教養として絵を習わせる習慣があったとのことでしたが、それが女流画家を多く輩出している所以なのかもしれません。今は大阪の女性といえば「大阪のおばちゃん」というイメージなのですが、そのパワフルな画風の中に、繊細さと優しさが潜んでおり、なんともいえない懐の深さを感じました。まさに大阪の底力恐るべし!といったところでしょうか。

Written by
TAKESHI ITOH

DESIGNER

広告デザイン一筋に、各種クライアントの雑誌広告、新聞広告、ポスター、パンフレットなどの商業広告から、イベントブースの設計・デザインなどの制作業務全般に携わる。現在もグラフィックデザイナーとして現場を兼ねつつ、アートディレクターとして、企画・提案から制作・進行管理までを担当。