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2023.06.06

クリエイティブに触れて|ボルダリングジムのデザイン

クリエイティブに触れて 

皆さん、ボルダリングというスポーツをご存知ですか。東京2020オリンピックで五輪デビューを果たしたスポーツで、テレビの特集や公園の遊具などで1度は見たことがある方もいるかと思います。私はこのスポーツを10年以上続けており、週末にはさまざまなボルダリングジムで登っています。今回はそのボルダリングジム内に広がる色とりどりの世界、ないしは、壁をご紹介できたらと思います。

第1回目となる壁はこちら。私がよく行くジムの壁です。(トップの画像も同じジムです)

ダークブラウンで暗めの壁面。ホールド(取手となる突起物)は小さめの物が多く、隙間を埋めるように付いている印象。待機場を囲うように壁が配置されていて、トレーニング場っぽさを感じられます。また、壁の区切りがはっきりしていて、順番待ちの人が一箇所に集まるような設計(左の写真がそれをよく表しています)。各々がこれから登る壁を一直線に見ながら待つ、みたいな導線でしょうか。

比較になればと思い、私がたまに登りに行っているジムの壁もご紹介します。

1枚目よりも、明るく落ち着いた木目の壁に、適度な距離感に配置された大きくてカラフルなホールド。自然光を取り入れつつ、広々とした空間で、どこか都会的でお洒落かつスポーティな印象。同じ色のホールドを使って登るのが基本的なルールなのですが、「ここにこの色があって、次は…え、これ届くの?」と思えるほど、離れた所にホールドが付いているコースもあります。登っている人が自然と目に入るよう、登るエリアと待機するエリアが直線上に分かれている構造もこのジムならではかもしれません。

同じスポーツに取り組むジムでも、店舗によってこれだけの違いがあるのもおもしろいですよね。何を大切にしているのか、どんなコースを登ってもらいたいのか、お客さん同士でどんな会話が生まれてほしいのか、というメッセージがそれぞれの壁に込められている気がします。(さすがにこれはクライマーならでは過ぎる視点ですかね)

そのジムが大切にしているコンセプトが、壁にデザインとして表れていると考えると、方向性がはっきりしていると捉えらえますよね。

では、このボルダリングジムの壁のデザインをブランディングに置き換えるとどうでしょうか。例えば、自社を表す時にどんなホールドを使って、どんな配置にして、どんなコースにしたいのか。そもそもどんな人が働いていて、どんな人に来てもらいたいか。お客さん同士でどんな会話が生まれたら、自社らしいジムになるのか。自分の趣味に近付けて考えてみると、いろいろ浮かんでくる気がします。言葉で丁寧に整理することが大切なブランド構築ですが、趣味と紐付けて直感的に考えてみるのもおもしろいかも知れません。

と、ここまで趣味を好きなように語ってきましたが、改めて壁を眺めてみると、カラフルでさまざまなコンセプトが垣間見えて、意外とクリエイティブに良い刺激を与えてくれているかも?と考えたりするのでした。

Written by
KANAME SAKAGAMI

DIRECTOR & COPYWRITER

コピーライターとしてキャリアをスタート。コピーライティングはもとより、企画プランニングやディレクター業務など幅広く経験しつつ、総合不動産・IT・化粧品・金融など、さまざまなクライアントの採用やプロモーション施策に携わる。その後、カラビナへ。浅草生まれ、浅草育ち、お寺の次男。