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2022.08.18

クリエイティブに触れて|『自然と人のダイアローグ』展に行ってきました!

クリエイティブに触れて 

国立西洋美術館のリニューアルオープン記念『自然と人のダイアローグ』展は見応え十分の素晴らしい展示でした!

「デザイナーだけど、美術は素人」の私が美術展を見てきます!

私は長年、グラフィックデザインの仕事をしていますが、もともと美術の専門学校や大学に行ったわけではなく、恐らく、他のデザイナーさんたちに比べたら、絵画や美術への造詣はほとんどないに等しいキャリアなのです、お恥ずかしながら。なので、時間を見つけては美術展など見に行くようにはしているのですが、正直、いまだに絵画の良し悪しとかあまりよく分からないのです。

なので、絵画素人のデザイナーという、比較的珍しいであろう視点から観覧記をお伝えしたいと思います。

モネの『睡蓮』が見たかった!だけなんです。

デザイナーとしては、美術方面でハンデのある私。その自覚をし始めた頃に初めて行った展覧会が確か「印象派展」。もちろん、当時も美術素人なので、本音としては「見に行ったところで、良さとか分かるんかなあ〜?」とか思っていたのを記憶しています。当然、なかなか良さが分かるわけもなく、30分ほど順路を歩かされた頃、とても大きな『睡蓮』に出会いました。衝撃です!何が凄いかよく分からないけど、「まじか!?こりゃー凄い!」と。もちろん、教科書などで見たことはあったものの、本物を間近で見ないと分からない迫力に圧倒されたのでした。

クロード・モネ『睡蓮』

今回は、この『睡蓮』をまた見たい一念で、自然とのダイアローグ展を選びました。展示のテーマは「西洋美術の巨匠たちによる、自然をめぐる100の物語」とあるように、著名な画家の自然をテーマとした絵画を一堂に見ることができます。有名どころだと、セザンヌ、ゴーギャン、ピカソ、シニャックなど、だいぶ豪華なラインナップ。さまざまな種類の名画を見ることができるので、特に初めて美術展に行く方にお勧めしたいです。好きじゃないのはどんどんスルーして、好きな絵だけ見る、というのがオススメ。そのとき、画風のバリエーションが多い展示の方が好みのものが見つかりやすいと思うからです。

今回の私も、↑この見方で、序盤はかなりスルー。「今回、あんまり好きなのないな〜。」とか思いながら中盤を過ぎた頃、今回の衝撃の1枚に出会うことができました。

ゴッホの1枚に、心を持っていかれ。

デザインをしている中で、画像の加工も昔から好きな作業。お客さまからいろいろなリクエスト(無茶振り)をいただき、「やったろうじゃねーか!」と挑戦しているうちに、自分の得意分野のひとつになったと思っています。
そんな画像加工を得意としている自分でも、いまだに難しいのが「光」の表現。
今回もシニャックの点描的な光の表現や、セザンヌやモネの白色の使い方とかに自然と注目しながら見ていました。

ポール・シニャック『ポンデザール』
クロード・モネ『舟遊び』

そんな中、ゴッホの『刈り入れ』の前へ。今回の展示の目玉であることもあり、人だかりがそれなりに。順番を待ちながら遠くから眺めてても、「ゴッホっぽいね」ぐらいの感想。アナウンス(無線機で絵の説明が聞けるもの)を聞きながら眺めていたら、気づいてしまったのです。

「この絵、太陽からの光が絵全体に行き渡ってる!」と。

それが凄いことなのか分からないなりに、絵画全体に柔らかな薄黄色い光が満ち満ちている、この描写に驚き、感動してしまいました。やっぱり、ゴッホってすごいんだなあ〜。

ちなみに、アナウンスによると、この絵はゴッホの晩年の作で、精神がちょっとやばくなっていた頃に、刈り取られる麦に「死」を感じた、ということを描いているそうです。ただ同時にゴッホは「死」自体を悪いことだとは考えていなかったとも。「死」がテーマのこの絵に、満ち満ちた優しい色合いの光。ゴッホが何を言いたいのかは分からないけど、ただただ凄いな、と感じた1枚でした。
(その後、モネの『睡蓮』もちゃんと見て、また感動しました。)

フィンセント・ファン・ゴッホ『刈り入れ〈刈り入れをする人のいるサン=ポール病院裏の麦畑〉』

絵画素人デザイナーの美術展観覧記、いかがだったでしょうか?絵の見方が間違っていても、ご容赦いただきつつ、少しでも美術展に行く面白さが伝わったら嬉しいです!

2022/8/11 国立西洋美術館より

Written by
AKIRA KIKUCHI

DIRECTOR & DESIGNER

グラフィックデザイナーとして15年以上デザインに携わる。大手メーカーや官公庁をはじめ、カタログ、ポスター、ロゴ制作などグラフィカルなデザインを幅広く手がける。 近年はサイトデザインも手がけ、webデザインも対応。また、ディレクターとして、企画・提案から運営管理までのディレクションも担う。