カラビナ式コピーライター養成講座 第1回 | カラビナ
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カラビナ式コピーライター養成講座 第1回 | カラビナ
2017.05.31
POSTED BY MASAKAZU ICHIKAWA
#コピーライター #講座

カラビナ式コピーライター養成講座 第1回 | カラビナ

宣伝会議賞で眞木準賞を受賞して、コピーの「表現」についてすこしだけ自信がでてきたぼく。けれど、カラビナでの毎日には、新しい方法論の発見がたくさんありました。日々の仕事で見つけた、コピーライターの「言葉の技術」を、すこしずつお伝えします。

いま、どれくらい伝わるのかな。

ぼくはカラビナ社内にあるものの中で、もっとも好きなのがプリンタです。それはぼくのデスクの後ろにあって、毎日一生けんめい、みんなの出力した書類をせっせと印刷し続けています。その中でもとくに好きなのが、両面印刷。印刷を終えて飛び出てくるかと思われた用紙がふたたびプリンタに吸い込まれて、こんどは裏面に文字をたずさえて出てくる。その姿を見てぼくは、「オモテに印刷されてはじめて、ウラに印刷することができる。」という格言を得たのでした。

ところで、ぼくがコピーライター兼ディレクターとして仕事をしていて、よく指摘を受けることのひとつに「認知」の問題があります。つまり、ターゲットとなる人は、ぼくがコピーを書こうとしている商品やサービスについて、どれくらい知っているのか。その商品やサービスをどう思っているのか。そして、その「認知」に対して、どういう情報を伝えることが有効なのか。ぼくは「認知」についての思考が足りないため、ときどき(頻繁に)大外しのコピーを書いてはとことん叱られているのです。「読み手が知っている前提で書いているコピーが多い」と言われるたび、ぼくはオモテに何も書かれていないうちから、ウラ面にコピーを書き続けている気分になるのです。ターゲットは、どのくらいの認知なのかを考えた上で、いま、どれくらい伝わるのか。業務を通じて手に入れた、おもにコピーの「表現」で学んだヒント。それは「どれくらい伝わるのか」を考える上でのヒントにもなるものでした。

本当のWhat to Say。

その日のぼくは、あるオフィスビルのコピーを書いていました。ふつう、ビルが広告を出稿する目的というと、新築物件だったりテナントを募集するものだと思いますが、今回は、「周年コピー」。そのビルは、社会にとってどのような価値を持つものなのか?クライアント企業がそのビルを通して提供してきた価値はどんなものか?という、企業のブランディングを担うカラビナらしいコピーの依頼でした。

伝えたいことは大きくは決まっていて、

1.ビルが持つ伝統。
2.不動産会社のビルづくりに対する思想。
3.ハイクラスな人たちのための職場環境としての場。

ぼくはその3つの要素を「どう言うか(How to Say)」という発想で書いていましたが、カラビナで学んだアプローチは、「グリッド」を使って「何を言うか(What to Say)」の本質を導き出すものでした。

グリッドによる発想。

たとえば、前述の3つの要素を、ひとつの軸として考える。
その伝統は、(一般的な認知として、競合と比べて、言葉の意味として)どれくらい強調して伝えるべき伝統なのか?
その思想は、(一般的な認知として、競合と比べて、言葉の意味として)どれくらい情報として価値を生むものなのか?
その場は、(一般的な認知として、競合と比べて、言葉の意味として)どれくらい他のビルに比べて優位性のあるものなのか?

イコライザーを調整するみたいに、3つの軸の強さを少しずつ微調整して、最適な個所を探っていく。そしてそれを伝えるために最適な「トーン」「キブン」などの軸でさらに言葉を動かしていく。
そのWhat to Sayを見つけるためにグリッドの網目を狭めていく調整作業の過程で生まれたコピーに、「伝えるべき情報」が含まれている、という考え方なのです。

複眼的な視点。

このグリッドを使うことによって得られるのは、視点です。よく、コピーの講座を受講していると、「いろんな視点で考えよう」ということを指導されます。でも、表現そのもので視点をずらす作業をしても、それは言葉の言い換えだけになってしまうケースがあります。だから、考える軸をつくって、軸の上からふさわしい場所を探してみる。たくさんの軸を行き来して、「ふさわしい場所」が接するポイントを見つける。そうやって複眼的な視点で見つけた事実、生まれたコピーは、発見の重みが違います。複数の道筋や過程を経たコピーだから、クライアントへのプレゼンにも説得力が生まれるし、企画書レベルでも整頓された内容になってきます。たぶん、コピーを考えることは、考え方の道筋をつけることと、それを論理的にたどること。その過程を言葉にすることに他ならないと、頼もしい複合機プリンタの前で、ぼくはきょうも考えているのです。

Posted by
MASAKAZU ICHIKAWA / DIRECTOR / COPYWRITER
Eコマース企業にてマーケティング・商品開発を経験したのち、ダイレクトマーケティング会社、広告代理店のコピーライターを経て、現職。企業・製品ブランディングからプロモーションまで、幅広い領域のディレクション、コピーライティングを担当。宣伝会議賞で眞木準賞を受賞しました。

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