前回、弊社のスタッフが書いてくれた「カラビナ流コピーの書き方①」。今回は、そのカラビナ流?を考えた本人が解説します。
カラビナ流というとなんだか特殊に見えますが、現実にはそれほど特殊ではないかも。例えば、新入社員として広告会社に入ったら、基礎としての教育を受けて自然と身に付くことだと思いますが、キャリアの途中からコピーライターを目指すメンバーも多い中、なるべく最短で実用性のある人材を作り出すには、と試行錯誤したモデルです。ひょっとすると同じような悩みを持つ小規模な制作会社も多いかもしれないので、そんなみなさんのお役に立てれば。
ちなみに、まずベーシックな考え方としてコンセプト立案の前に企業や商品分析=主に3Cなどを活用。同様にターゲット分析=好みや思考、ライフスタイルなどを検討に入れ、さらに、世の中のトレンドや気分などを視野に入れておく。かつ、お客様の要望=オリエンでの意向度や提案の自由度などを意識しながら、What=何をいうかを割り出し、適切な表現=コピーに昇華していきます。
その上で、企業DNAや優位性を元にブランディングを行うカラビナの場合では、お客様からのオリエンというより、カラビナが価値や優位性を見出すところからスタート。その後に、コピー表現までワンストップで昇華していきます。そのため、コピーライターやデザイナーがプランナーやマーケターの役割も担い、クリエイティブを実装させていきます。一人で何役かをこなすのも、うちの特徴かもしれません。
と、そんな背景はありながらも、若手コピーライターを見てきて、その傾向としてあるのが、「コンセプトそのまんま」「(オリエンやCDの)言われたまま」素直に書いてしまうことなのです。実は、「伝えたいと思うこと」をただ、そのままコピーっぽくするだけでは、いいコピーなどほぼ書けないもの。ちゃんと人に響く表現にするためには、その「伝えたいこと」をいかに多角、多次元で考えることができるかがポイントなのです。
ここが難しいですよね。ちょうど、この前考えていたのが、割とエキセントリックな旅を提供する旅行代理店のコピー。最初は、「旅」を転がしているだけのコピーがたくさん出てきました。よくある発想で、“旅を冒険に言い換えただけ“のコピーや”旅は人生に必要だ“的なよくある論点でコピーを延々に書き続けていた若手。この頑張り屋くんは最近、入社した期待できる人物ですが、このように視点が凡庸だと言葉だけの力で驚きを与えるコピーに昇華するのはほぼ無理と考えた方がいいでしょう。
そこでアドバイスしたのが、さまざまに目線を変えて旅を捉え直すこと。例えば、旅の定義とはなんなのかを考え直してみる。それは、移動距離の問題なのだろうか?非日常性?国境を越えると旅?初めての体験だと旅なのか?遠いなら旅と言えるのか、言えないのか?初めての体験がないと旅と言えないのか?過去や未来という時空の概念で考えるとどんな旅なのか?
などと、さまざまな尺度や角度で、旅の定義を見直してみたりする。そうすると、人にとっての旅とは、何か。あるいは、このターゲットが欲しい旅はなんなのか、が見えてきたりします。彼にも、このようにできるだけ思いつく限り多彩な角度からものを考えて、うまくまとまっていなくても良いのでコピーを書いてみてといったところ、100を超える多彩な案が出てきました。
コピーライターとは「書く」仕事ではなくて、「ものの見方や考え方」を発見する仕事です。どう書くかより、どう今のものの見方を疑うか、がセンスの見せどころ。・・・と、この続きは、またカラビナ流コピーの書き方シリーズで。