企業スローガンとは?社是と何が違う?中小企業やBtoB企業での効果的な事例も紹介
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「企業スローガン」とは、企業のありたい姿や社会に提供したい価値を、端的な言葉かつその企業らしい言い回しでまとめたものです。企業スローガンは企業が顧客に向けて行う「約束」のような存在で、中小企業やBtoB企業のブランディングにも欠かせない存在です。本記事では、企業スローガンを作成するメリットや実例、また作り方などについて詳しくお伝えします。
この記事で学べること
企業スローガンとは何か?「企業理念」また「キャッチコピー」などと何が異なり、果たす役割は何なのかを理解することができます。大手企業の具体例を元に、スローガンのイメージをつけ、実際にどのような手順で企業スローガンを作ると良いか、また実際に制作を依頼した中小企業やBtoB企業から、どんな疑問が寄せられるかをQ&A形式で知ることができます。
著者紹介
戸部 二実
株式会社カラビナ代表取締役
クリエイティブディレクター/コピーライター/組織コンサルタント
大学で心理学を専攻のち、91年 株式会社リクルート入社。ベンチャーから大手企業までの企業広告、ブランディングに関わる。2000年、クリエイティブディレクター/コピーライターとして独立。2012年に株式会社カラビナ設立。
東京コピーライターズクラブ(TCC)新人賞/産業広告賞金賞など受賞歴多数。
2020年中央大学経営戦略科にて組織論を研究。経営修士。
現象学とブランディングの観点から組織や経営を改善する研究を継続中。
目次
- 「企業スローガン」とは
- 大手企業に見る企業スローガンの具体例
- 企業スローガンと、ビジョン・ミッション・バリューや「社是」との関係性
- 企業スローガンが存在することのメリット
- 企業スローガンの一般的な作り方
- カラビナの具体的な事例
- 企業スローガンに関するQ&A
「企業スローガン」とは

「企業スローガン」とは、企業のありたい姿や社会に提供したい価値を、端的な言葉かつその企業らしい言い回しでまとめたものです。 TVコマーシャルや広告では、企業のロゴとセットで置かれることが多く、記憶に残りやすいよう、メロディに乗せて流されることもあります。
企業ブランディングには欠かせない「企業スローガン」
そもそも企業にとってブランディングは、「自分たちは何者なのか」「どんな強みを持ち、どのような社会課題に貢献できるのか」などを正しくユーザーに伝える役割を果たします。それらのブランディング活動の中で企業スローガンは、企業のロゴや理念とセットで伝えられ、10年、20年と使われることで、その企業の「顔」となっていきます。
キャッチコピーが、商品やサービスごとのメッセージ伝達を担うのに対し、企業スローガンは、企業全体を包括したメッセージとして、ユーザーとの「約束」のような役割を果たします。
もっと簡単に言うと、「10年後、その企業がどんな風になっていたいのか?」を示したものと言えます。しっかりとビジョンを宣言することで、消費者は企業に安心感や好感を持ちますし、社員は将来像がイメージでき、前向きに仕事に向き合えることでしょう。このようにビジョンは、「未来志向」で考えることが肝要です。
なぜ企業スローガンが必要なのか?
「なぜ企業スローガンが必要か?」という問いは、「なぜ企業ブランディングが必要か?」という問いに、そのままつながります。
企業ブランディングは、「企業が提供する製品・サービスや、社員が提供する体験、その企業が持つ独自の価値観などを包括した企業イメージを構築すること」を指します。ブランディングが成功すれば、まずユーザーは製品やサービスの想起をしやすくなります。それだけでなく、その企業独自のイメージが形成され、ユーザーは信頼や愛着の念を抱くようになります。簡単にいうと「ファンになる」ということです。
ブランディングが成功し、ユーザーに正しい企業イメージが伝わっていると、企業にとって適切な顧客層がその企業の製品・サービスを購入します。ファンになったユーザーは、長期間にわたり継続的にその企業の商品を購入・利用する可能性が高まります。これを顧客生涯価値(LTV=ライフタイムバリュー)と呼びます。
企業にとってブランディングは、顧客との長期的な関係を築き、その価値を最大化する重要な手段なのです。これはもちろん、BtoC企業だけでなく、BtoB企業にも共通しています。
ブランディング構築において企業スローガンは、企業の伝えたいことを「よりわかりやすく、魅力的に」ユーザーに伝える役割を果たします。その企業に対して長く記憶させたり、愛着を持たせたりすることが可能になります。
では、より深く理解するために、実際の企業スローガンの具体例を見てみましょう。
大手企業に見る企業スローガンの具体例
1)HITACHI

日立のスローガンは「Inspire the next」です。日立のグループビジョンと、このスローガンの関係性について、日立のwebサイトで説明されています。
さらなる飛躍を遂げるために。資源・エネルギー・環境問題など、現代の地球規模の課題に真正面から取り組み、持続可能な社会を実現するために。これからの私たちのあるべき姿を示したものが、日立グループ・ビジョンです。日立グループ・ビジョン
「日立は、社会が直面する課題にイノベーションで応えます。優れたチームワークとグローバル市場での豊富な経験によって、活気あふれる世界を目指します。」(中略)
これからの日立グループのあるべき姿を示した「日立グループ・ビジョン」。このビジョン実現への想いを宣言したスローガンが、「Inspire the Next」です。
https://www.hitachi.co.jp/about/corporate/identity/details.html
「Inspire」の語源は、ラテン語の「In」(中へ)+「Spirare」(息吹)で、「中に吹き込む」、「膨らませる」、「鼓舞する」という意味のほか、「精神、意識を高揚させる」、「元気づける」などの意味を持ちます。
「Next」の右上に赤く伸びるラインは「Inspire Flash」といいます。日立がさらに伸びていくという姿勢、新しい時代に進んでいくという意思の強さを象徴しています。
活気あふれる世界をめざして。
日立グループは、次なる時代に息吹を与え続けます。
世界・社会に対して、イノベーションで刺激を与える・活気あふれる世界を目指すというビジョンを「Inspire the next」というスローガンで端的に伝えています。平易な言葉で理解しやすいビジョンをスローガン化する際に、「dream」や「future」のような、他社も利用しがちな単語を選択していないところに、日立らしさや、プロのコピーライターの技術が光っていると言えます。
2)ニトリ

ニトリのスローガンは「お、ねだん以上。」です。ニトリグループが何を目指し、社会に対し何を実現したいと考えているかを言語化した「社是」が、ニトリのwebサイトに掲載されています。
ニトリグループ社是
- 私たちは、世界で豊かな暮らしを提供します。
- 私たちは、品質が維持された商品をより安くお届けします。
- 私たちは、トータルにコーディネートされた住まいを提案します。
- 私たちは、世界でA級のスペシャリストを目指します。
また、この社是を具体的なアクションに落とした「行動憲章」には、下記のような説明があります。
私たちは、品質が維持された商品・サービスを、お求め易い価格で提供します。
https://www.nitorihd.co.jp/ir/compliance/group_charter.html
私たちは、社会の「不平・不満・不便」を発見し、その原因を突き詰め、改善改革を繰り返して常に成長し続けます。
「品質が維持された商品を、お求め易い価格で」提供する。また、「不平・不満・不便」といったユーザーの「不」を解消する商品を提供する。それが「お、」とユーザーを驚かせる体験に繋がる。ニトリの哲学だけでなく、トーン&マナー(企業の持つパーソナリティや空気感)まで感じさせる、クリエイティブに工夫を凝らしたスローガンとなっています。
3)PERSOL

PERSOLのスローガンは「はたらいて、笑おう。」です。主に人材派遣業を行うPERSOLグループが、どのような来歴を辿り、どのような考え方で事業展開をしているか説明した「グループストーリー」のページには、下記のように書かれています。
「はたらいて、笑おう。」は、パーソルが
https://www.persol-group.co.jp/corporate/vision/
実現していきたい社会です。
多様な価値観を持った個人に向き合い、
世界中の誰もが、「はたらいて、笑おう。」を実感できる未来をつくっていくこと。
それが、私たちの使命です。
一人ひとりの多様なはたらき方・生き方を
応援したいという想いを込めて、
パーソルでは「はたらく」を平仮名で表現しています。
PERSOLは元々、人材派遣業から始まった企業です。女性が自由に職業を選べなかった時代に創業していることから、「多様なはたらき方は、人の人生をより良くする」という理念を持っているようです。「はたらいて、笑おう。」はその考え方について、ユーザー側に立ったとき、どうメッセージされると親近感が湧き、企業に対して愛着が持てるかをふまえ、PERSOLの考え方を、とても上手く端的にメッセージ化した表現になっています。
企業スローガンと、ビジョン・ミッション・バリューや「社是」との関係性
正しく定義することより、覚えやすさや「らしさ」の表現が優先される
ここまで見てきたように、企業スローガンは、「ビジョン・ミッション・バリュー」や、「社是」をそのまま伝えるものではありません。企業のありたい姿や社会に提供したい価値を「端的な言葉かつその企業らしい言い回しでまとめたもの」ですので、企業理念などと比較すると
・短く、覚えやすい
・「らしさ」が感じられる
といったポイントが押さえられています。日立のように、動詞から始まることで勢いを感じさせたり、ニトリのように、ダブルミーニングを活用することで忘れられないフレーズにしたり、表現における高度な工夫がなされています。
社員ではなく「ユーザー」に向けたメッセージである
また企業理念は、第一義として社員に向けて書かれた言葉ですが、企業スローガンはユーザーに向けたものでなければなりません。「私たちはこうですよ」という宣言や、「社会にこれを提供します」という約束を、一般ユーザーに向けてメッセージするために存在します。
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企業スローガンが存在することのメリット
ブランディング活動の中で企業スローガンは、企業のロゴや理念とセットで伝えられ、その企業の「顔」となっていく。とお伝えしました。スローガンが存在すると、ブランディングにおいて様々なメリットがあります。

ビジョンには、「可動性」=可動の量と質を上げ、人だけでなく企業や自治体など大きな規模の集団が「できること」を増やす、とあります。車という方法論に限らず「可動」によって、人と地球の共生を実現しながら、より良い未来を作っていくことを宣言しています。ミッションは、人の幸せについて「考え」、それを「量産する」という、具体的な行動を促す内容になっています。また、バリューの「トヨタウェイ」には、人(社員)と装置とパートナーを大切に、というトヨタ独自の価値観・カルチャーについて書かれています。
企業そのもの、商品・サービスの認知度向上
企業スローガンは、企業名やロゴとセットになることで、そのブランドを覚えやすく・また思い出しやすくする効果があります。企業スローガンをうまく制作できれば、企業そのものや、商品・サービスの認知度向上や、想起率のUPに繋がります。
コアコンセプト・メッセージの明確化
顧客や社会に対し、企業の基本的な価値観や目指す方向を端的に表現し、伝えることができます。「何がしたいのか」が明確だと、その企業にとって正しい顧客にメッセージが伝わり、適切な購買層を形成できます。
差別化の促進
コアコンセプトを明確にした企業スローガンが制作できると、競合企業との差別化が可能になります。企業スローガンが機能することで、マーケティング戦略上のメリットに繋がります。
感情的な結びつきや愛着の形成
その企業「らしさ」が表現され、生活者の感情に訴えかける企業スローガンは、感情的な結びつきを生みます。「便利だから買う」から、「好きだから買う」といった愛着を生み、ユーザーのファン化を促進します。
マーケティング活動の一貫性
企業スローガンは、企業広告や製品のコマーシャルなど、マーケティングのさまざまな面で使用でき、メッセージに一貫性のある効果的なプロモーション活動に繋がります。
インナーブランディングの形成と強化
企業スローガンは社内向けにも有効です。従業員に企業理念をあらためて伝え、一体感を醸成するのに役立ちます。インナーブランディングが成功すれば、組織全体の生産性や士気向上にも繋がります。
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企業スローガンの一般的な作り方
企業スローガンは、ブランディング構築の一環で策定される
では、企業スローガンはどのように制作すれば良いのでしょうか。
企業スローガンの策定は、一般的には企業ブランディング構築の中で実施されます。企業ブランディングの進め方には、「戦略策定」フェーズと、「クリエイティブ企画」フェーズがあります。以下の1〜4が「戦略策定」、5〜8が「クリエティブ企画」です。スローガンは「クリエイティブ企画」の方に属するため、そちらの説明をより丁寧に行います。

1. 自社の独自性を内部分析で発見
自社の強み・独自性を見つけ出すために、まず内部分析を行います。3C分析(顧客・競合・自社)などのフレームワークを活用し、社内だけでなく外部の専門家の視点も取り入れることで、客観的に自社の魅力や価値を発見します。
2. 独自性について外部環境分析で検証
内部分析で見いだした独自性が、将来も機能し続けるかを外部環境分析(例えばPEST分析など)で検証します。政治、経済、社会、技術など様々な観点から市場の変化を分析し、自社が導き出した優位性が未来においても機能するかを検証します。
3. ブランディングコアを引いた視点で検証
1、2を経て「ブランディングコア」と言えるものが見えてきますが、少し引いた目で確認することも大切です。あらためて社員や経営陣が魅力を感じ、共感できるものでなければなりません。さらに、経営戦略との整合性を持ち、将来の事業範囲を狭めすぎないことも重要です。
4. ブランドの耐用年数を検証
ブランドの耐用年数は企業の変化スピードに合わせて設定します。中堅・中小企業なら15年から20年程度、テクノロジー企業やスタートアップのように変化が激しい分野では10年程度が目安とされています。長期レンジを見据えすぎると一般論になりすぎるリスクがあります。
5.ブランディングイメージの根幹を開発する
内部環境分析・外部環境分析を行い、ブランディングコアが見えてきたら、次はクリエイティブを企画します。このフェーズでは、優位性の高い特徴や業界内で先進的な内容、自社が意志を持って表明したい内容などに、コアコンセプトすなわちWhat(何を言うか)を設計していきます。ちなみに、このプロセスはきちんとクリエイティブの経験を積んだプロフェッショナルと相談することが成功につながります。
また、Who(ターゲット)を戦略的に設定し、コンセプトを明確化することも重要です。
6. 企業の「らしさ」トーン&マナーを設計する
クリエイティブ制作の設計図ともいえるのが、トーン&マナー(世界観)の設計です。トーンとは色や音の微妙な違い、マナーとは作法やルールを指します。つまり、企業が発信したい「雰囲気」を定義するものです。
日立が「Inspire the Next」の「Next」の右上に赤く伸びるラインを入れることで、フレッシュさや伸びやかさを表現したように、「どんな企業に見られたいか」について、「どんな風にメッセージするか」で設計していくものと言えます。
7. スローガンとビジュアルを策定する
コアコンセプトとトーン&マナーが決まり、ここでやっと、その企業を体現したスローガンやビジュアルを開発します。
ここまで見てきたように、スローガンは非常に難易度の高い言葉選びを必要としています。経験豊富なコピーライターの支援を仰ぎましょう。また、言葉だけでなくビジュアル(映像含む)の開発も重要で、年齢層を問わず想いを届けられるよう両者をセットで用意するのが得策です。
カラビナの具体的な事例
次に、実際にカラビナが手がけた中から、BtoB企業におけるスローガン開発事例をご紹介します。
BtoB・中小・ベンチャー企業のスローガン例
1) 水産専門商社のリブランディングの際の企業スローガン

「Freshen Up Next この国のおいしいを世界の海から」
2) リサイクル鉄の専門商社の企業スローガン

Route of Reborn.
ただの石ころか、世界を救う資源か。
https://www.marubeni-tetsugen.co.jp
3) 千葉県の中堅電気設備企業の企業スローガン。採用にも大きく寄与

Sincerity in Quality.
https://www.aida-dengyou.com
誠実をつくる。誠実を生きる。
企業スローガンに関するQ&A
本記事では、企業スローガンの定義や、大手企業の具体的な事例、策定方法などをご説明してきました。私たちカラビナは、経営や組織に関わるコミュニケーションを、クリエイティブの力で加速することを志しています。企業ブランディングの構築や、企業スローガンの策定についてご検討の方は、ぜひ私たちにご相談ください。クリエイティブに関して専門のスキルを持ったスタッフが、企業のコアとなる強みを魅力的に表現したスローガンを策定します。企業ブランディング全体設計も可能です。詳しい資料は、こちらからダウンロードが可能です。

Q. 企業スローガンを策定すべきタイミングはどんな時でしょうか?
A. 企業スローガンの策定は、経営フェーズの進展と連動すると考えていただくと良いと思います。スタートアップなどでは、事業方針や事業ドメインが明確になってきた時、事業的に「攻めのフェーズ」である時など、企業スローガンを策定し、社内外に自社の方向性や本気度を知らしめていくと良い効果がもたらされるはずです。また、中小企業など既に事業基盤が安定している企業などでは自社の存在意義を、社会に対してあらためて「知らしめる」という意味でも企業スローガンを策定したり刷新したりすることもあります。
Q. 企業スローガンを策定する際に、注意するべきことはありますか?
A. 企業スローガンは、単なるキャッチコピーではないため、経営者一人の「好み」や「感性」に偏りすぎたり、言葉のプロ=専門性の高いコピーライターやコンサルタントを入れず、自社のみで開発すると、望ましい効果が得られないことがあります。また、社員にとっては、経営から突然、企業スローガンが降ろされたり、「ある日突然、自社のサイトのスローガンが変わっていた」というのは望ましい状態ではなく、時に会社へのエンゲージが下がってしまうことになりかねません。スローガンで「何を伝えるか」という戦略的な分析が大切であるとともに策定のプロセスに社員を巻き込んだり、社内報などを通じて社員に情報を公開することで、スローガンが目指す方向に全員が一丸となれるような配慮が必要です。
Q. ビジョンは作ったものの、形骸化してしまっている場合、どのようにするべきでしょうか?
A. ご相談の中でも、よくあるお悩みです。ビジョンが形骸化してしまう要因は大きく2つ。
1つ目は開発や言葉の選定プロセスに問題があったケースです。ビジョン開発は、単なる言葉選びではないため、経営層や社員などを巻き込んで開発過程から”自分ごと化”しやすい状態を作ることが大切です。にも関わらず”なんとなく雰囲気がいいから選んだ”、”社長の思いつきだった”など、言葉の背景に戦略性や深みがない場合は形骸化しやすいと言えます。
2つ目は、ビジョンで意味する内容や言葉そのものは良いものの、社員に浸透するための工夫がなされていないケースです。本来ならば、開発時から社員を巻き込み”自分ごと化”するのが望ましいものの、このようにビジョン開発時にチャンスを逃してしまった場合は、同じような効果を生むためにバリューの開発を社員や経営層を巻き込みながら行い、その後にイベントや広報、評価制度、アワードなどの仕組みを整えて浸透を図っていくなどの解決策があります。
Q. 企業スローガンの活用方法を教えてください。
A. 企業スローガンは、作っただけで終わらずきちんと活用・応用していくことが大切です。大手企業の場合は、自社サイトを核にして多彩なキャンペンサイトやサービスを告知する広告・メディアへの応用が考えられますが、そこまで広範囲にP R活動を行わない中堅・中小企業はどのように考えるべきでしょうか。まず、基本としては自社サイトに掲載したり、企業スローガンを核として、あらためてビジュアルアイデンティティ(V I)を整え直し企業サイトそのものをリニューアルするケースも多数あります。それだけではまだ抽象的な理解に留まってしまうので、企業スローガンを体現するような事例や取組みを自社サイドやオウンドメディア、お客様に向けた情報誌などに掲載する、スローガンに関するようなイベントを開催するなど、企業スローガンと具体を紐付けるようなプロモーション活動が行えると理想的です。
Q. 企業スローガンの良し悪しがわかりません。どのような基準で見れば良いでしょうか?
A. 企業スローガンの質を測る上で重要なのは、その企業がどれだけ社会に理解されているかというポイントです。その際に、社名の認知度だけでなく事業への認知度、社風や価値観への認知度なども考え合わせてみましょう。例えば、サントリーのように社名+事業内容+価値観まで理解されている企業の場合は、「水と生きる」のように自社の強みや理念(=言いたいこと)が書かれていても、相手は意味を理解することが可能です。一方で、社名も事業内容も知られていない会社が、仮に「水と生きる」と書いていたら、どう思うでしょう?まずは、「ウォーターサーバーの会社かな?」「水道工事関係かな?」などと感じてしまいます。企業スローガンの良し悪しを見る上では、自社の認知度が低い場合=なるべく事業や強みが、自社から遠い人でもわかるように作る。自社の認知が高い=事業などについては言及せず「その先に伝えたいこと」を核にするのが重要です。翻って自社のスローガンの良し悪しを測る上では、この基準でみて、自社のスローガンがわかりやすいか、機能しているかをチェックすることが大切です。
Q. 企業スローガンの開発期間はどれくらいを見ればいいでしょうか?
A. 企業スローガンの開発期間は条件によっても変わってきますが、一般的には、①すでに訴求する内容が明確な状態でコピーを開発する場合=1ヶ月半前後。②訴求すべき内容から吟味する場合=3-6ヶ月程度が一つ目安です。大手有名企業のリブランディングに伴う、企業スローガンの見直しとなると1年から3年など長期的なプロジェクトになるケースもありますが、中堅・中小企業などではそこまで時間をかけるケースは少ないようです。ただし、スローガンを開発して終わりではなく、その活用や市場や社内での浸透までを視野に入れると、実際には半年から数年にかけてのプロジェクトになるという認識を持っておいた方が良いでしょう。
Q. 企業スローガンの策定によって、採用にも良い効果が生まれますか?
A. 企業スローガンの策定や再定義は、採用をはじめとするインナーブランディングにも優れた効果を発揮します。特に採用については、効果は顕著に見えてくると思います。多くの方に知られた有名企業であっても、新しいスローガンの策定によって「SGDsへの取り組み姿勢が高い」「自分の目指す未来と近い」といった理由から、これまでと異なる応募者が集まってきたり企業の姿勢への理解が進んでいきます。一方で、あまり知られていない企業や中小企業・スタートアップなどの場合では、「向かう方向性がわかりやすくなった」「強みがわかって、一層、魅力的に見えてきた」などの効果が生まれ、これまでなんとなくで応募していた層から、しっかりとした志望理由をもった層に母集団がレベルアップするなど嬉しい効果が期待できます。
Q. 企業スローガンを策定する上でのパートナー選びの観点を教えてください。
A. A) 企業スローガンの策定は、経営戦略への理解力、マーケティングへの理解力、それに加えてコピー開発やクリエィティブなどかなり複合的な知見と能力が求められるプロジェクトです。そのため、上流をコンサルタント、コピー開発をコピーライターへと分断させてしまう企業もありますが、この場合、コンサルタントの意志がうまくコピーライターに伝わらない、全体像が見えないためスローガンがどうしても表面的・言葉遊びのようになってしまう、などの懸念があります。理想としては、上記のスキルをすべて持ち合わせた、クリエイター出身のコンサルタントや自身も経営経験があるクリエイターなどが望ましいでしょう。また、有名企業でのスローガン策定と、知られてない企業でのスローガン策定は、整理の仕方、考え方も大きく異なります。自社が大手有名企業でない限り、BtoB企業やスタートアップ、中小企業の「価値探し」の能力が高いクリエィティブ・パートナーを選択することをお勧めします。
さらに知りたい方へおすすめの資料はこちら
どうつくる?ミッション/ビジョン/バリュー
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- ●戦略だけでは疲弊しやすい。
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- ●ミッション/ビジョン/バリューの見直しタイミングとは?
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