3C分析入門|Amazon・楽天・COOPを題材に、考えてみよう
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「通販で買い物をする」という行動は、今や多くの人の日常に溶け込んでいます。さらに、洋服はZOZOTOWN,家具はディノスなどと、通販の世界でも棲み分けがあります。そんな中でも私たちの日常を司る商品・・、食材や洗剤、ペット用品や飲料などと考えていくと。日用品すらいつの間にか、通販に頼るように。そして、そんな通販ブランドさえ、幾つもの選択肢が——。Amazonで注文する日もあれば、楽天でまとめ買いをする日もあり、ニンジン、じゃがいも、玉ねぎといった重量のある定番食材に関しては、COOP(生協)に任せている、という人も珍しくないはずです。同じ「通信販売というジャンル」なのに、なぜ、それぞれのサービスとの向き合い方が違うのでしょうか?そんな疑問をふまえながら、今回は、Amazon・楽天・COOPの3社を題材に、3C分析を試してみます。
3C分析とは何か
3C分析とは、「Customer(顧客)」「Competitor(競合)」「Company(自社)」の3つの軸から、自社のポジションや強みを考えるためのフレームワーク=思考の型です。これはマーケティングなどのシーンで使われ、フレームの開発者は大前研一先生。非常にメジャーなフレームワークですが、活用する上で、留意してほしいのは「比較表を作ること」を目的にせず、自社の優位性を顧客起点にして問いを立てること。それでは、実際の企業での分析をもとに、ぜひ3Cの使い方に慣れて行ってください。
*このシリーズの狙いや3C分析の基本については、第1回(スタバ・タリーズ・ドトール編)をご覧ください。
今回の題材:Amazon・楽天・COOP
今回取り上げるのは、Amazon、楽天市場、COOP(生活協同組合)の3社です。
この3つの企業に、共通するのは「通信販売」を事業のメインとすることです。特に酷似して見えるのは、Amazonと楽天かもしれませんが、実はCOOP(生協)も地味ながら、同じような事業を展開しています。ブランドイメージは、それぞれごとに違いますが、根幹が似ているこの3社。そして、この日用品を販売する事業モデルは、同じ人が、場面によってこの3つを使い分けている可能性もあります。急ぎの日用品はAmazon、ポイントを貯めながら国内ブランドの食品は楽天、週の食材と生協のこだわり食品はCOOP——そんな使い分け、思い当たりませんか。ひょっとすると同じ人が、この3社を使い分けているかもしれない。そんな可能性に目を止めながら、3C的な視点を持って「問い」を生み出してみてください。
Companyを見てみよう
まず3社の基本的な特徴を、フラットに並べてみましょう。ここで評価はせずに、「こういう違いがある」という事実の確認に重きを置きましょう。
Amazon
- 世界最大のECモール。元々は本の流通からスタートし、現在は膨大な品目を扱う
- UIのわかりやすさと操作体験の良さが特徴。検索から購入までのストレスが少ない
- 注文から短期間で届く物流網を持ち、配送スピードは3社の中で最も速い
- 顧客層は男性が多く、25〜34歳がボリュームゾーン。趣味・日用品・ガジェット系が強い
- 特殊な部品やマニアックな商品も世界中から取り寄せられる品揃えの広さが魅力
- 問い合わせはネット完結。一定のデジタルリテラシーがないと使いこなしにくい面も
- Amazonプライムに加入すると定額で、注文したものが翌日届くほか、映画などコンテンツの見放題になる。
- ECモールで有名だが、現実には大半の利益をAWSのクラウドサービスに頼っている
楽天市場
- 1997年創業の日本発ECモール。国内最大級のショッピングモール型プラットフォーム
- 出店者(テナント)が個々に店舗ページを持つ形式で、国内のプレーヤーが充実している
- 食品カテゴリが特に充実しており、国内の食品メーカー・産地直送品が豊富
- 楽天経済圏を目指す楽天ポイントが象徴的。これによってポイント目的で使うユーザーが多い。
- UIはAmazonに比べ情報量が多くやや複雑。慣れると使いやすいが初見では迷いやすい
- 送料や割引条件が店舗によって異なるため、購入前の確認が必要なケースがある
- スーパーセールや買い回りキャンペーンなど、イベント型の購買促進が得意
COOP(生活協同組合)
- 組合員が出資・運営に関わる非営利の生活協同組合。関東3県で200万人以上が加入
- 組合員と共に商品開発を行うこともあり、生産者の顔が見える食品作りが得意
- 注文後、1週間以内に決められた曜日に届く。即時性は弱いが、人の手で宅配され、配達員との会話が生まれることも
- 毎回、ボリュームのあるカタログが届き、そこから注文する体験が残っており、「読む・選ぶ楽しさ」がある
- 保険・葬祭・リフォームなど、生活全般に関わるサービスを組合員目線で提供
- 顧客層はファミリー層から高齢者にかけて。親から子へ引き継がれるケースも多い
- リアル店舗=生協スーパーもあり、対面で接客、ブランドに触れてもらう機会がある
- コープ社員が週に一度、配達する仕組み。Face to faceでお客様の顔を見て商品をお届けできることが安心感につながっている。高齢者の単身世帯の見守りとしても機能。dffg
この時点で、3社がそれぞれまったく異なる「会社の姿」を持っていることが見えてきます。
Competitorを考えてみよう
では、3社それぞれにとっての競合はどこでしょうか。同じ「通販・宅配」という括りで並べるだけでは、見えてこないものがあります。顧客が「その場面で、何と比較して選んでいるか」から考えてみましょう。
Amazonの競合
Amazonの競合として、どんなサービスが挙げられるでしょうか。
- 楽天市場・Yahoo!ショッピングなどの国内ECモール
- ヨドバシ・ドット・コムなどの家電・日用品EC
- レアな商材を販売している海外サイトや専門サイトなど
- メルカリなどのフリマアプリ(中古・希少品の文脈で)
- 実店舗のドラッグストア・家電量販店(即日入手したい場合)
並べてみると、「欲しいものを、すぐに、手間なく」という文脈で競合が集まっています。スピードと利便性が選択軸になっているのかもしれません。
楽天市場の競合
楽天市場の競合として、どんなサービスが挙げられるでしょうか。
- Amazon・Yahoo!ショッピングなどのECモール
- ふるさと納税サイト(産地直送食品の文脈で)
- 各ブランドの公式オンラインショップ
- 実店舗のスーパー・百貨店(食品・ギフト購入の文脈で)
「ポイントを貯めながら、国内ブランドの商品をまとめ買いする」という文脈では、競合の顔ぶれがかなり変わります。楽天ポイントという独自経済圏が、競合設定を複雑にしているのかもしれません。
COOPの競合
COOPの競合として、どんなサービスが挙げられるでしょうか。
- 地域のスーパーマーケット
- オイシックス・らでぃっしゅぼーやなど食材宅配サービス
- Amazonや楽天の食品や日用品カテゴリ
- 近所のドラッグストア(日用品の文脈で)
- 地場の商店街
「定番の食材を、週に一度に届けてもらう」というサービス。そんなCOOPの競合はAmazonや楽天の生鮮や日用品もあり得るし、オイシックスをはじめとする食材宅配サービスや地域スーパーもありえます。利便性や価格的なメリットを重視するのか。食材の持つストーリーやトレーサービリティにこだわるのか。それによっても、顧客が「COOPにプラスアルファでどこと取引するのか」が変わってくるとのだと思います。
Customerを考えてみよう
では、それぞれを使っているのは、どんな人なのかを想像してみましょう。
AmazonのCustomer
Amazonを使う人として、どんな人が思い浮かぶでしょうか。
- 欲しいものをすぐに、手間なく手に入れたい人
- 趣味や専門分野の少しレアな商品でも、世界中から探したい人
- 本・ガジェット・日用品を自分のペースでまとめ買いする人
- 人と関わらずに購買が完結することを快適だと感じている人
- レビューを読み込んで、合理的に判断してから買いたい人
調査によると、50代男性での利用率が72.0%と突出して高い傾向があります。並べてみると、「自分の目的に向かって、効率よく買う」という意識が強い人が多そうです。利便性と速さに価値を置いているのかもしれません。
楽天市場のCustomer
楽天市場を使う人として、どんな人が思い浮かぶでしょうか。
- ポイントを意識しながら、お得に買い物をしたい人
- 国内食品・地方の名産品・ギフトを探したい人
- スーパーセールやキャンペーンのタイミングでまとめ買いをする人
- 楽天カード・楽天銀行など楽天経済圏をフル活用している人
- お気に入りの店舗を持ち、繰り返し購入する人
調査では60代女性での利用率が70.7%と特に高く、シニア女性層・主婦層に強固な顧客基盤を持っていることが見えています。ふみさんの予想通りでした。「賢くお得に使いこなす」という意識が強く、ポイント還元やキャンペーンを楽しむこと自体が購買体験の一部になっているのかもしれません。
COOPのCustomer
COOPを使う人として、どんな人が思い浮かぶでしょうか。
- 60代以上が中心。高齢になるほど利用率が高まる傾向がある
- ネットリテラシーが高くなく、スマホやPCでの操作に不安がある人
- カタログをゆっくりめくりながら、週の食材を計画的に選びたい人
- 産地や生産者が見える食品にこだわりたい人
- 人の手で届けてもらうことに、安心感を覚える人
- 親が加入していて、自然な流れで継続している人
並べてみると、「安心・信頼・人との関わり」に価値を置いている人が多そうです。そして見逃せないのが、宅配が単なる買い物にとどまらない点です。全国の7割以上にあたる1,291の市区町村と見守り協定を締結しており、配達担当者が組合員の異変に気付いた場合、行政の連絡先に通報する体制が整っています。配達員が顔なじみであることが、高齢者やその家族にとっての安心感につながっている。AmazonにもECモールには代替できない、COOPならではの価値がここにあります。
3つの軸を重ねると、何が見えてくるか
Company・Competitor・Customerの3つの軸を重ねると、3社が「住み分けたプレイヤー」として共存していることが見えてきます。
Amazonは「欲しいものを、速く、手間なく届ける」場として。楽天は「ポイントと国内の豊かな品揃えで、お得に買い物を楽しむ」場として。COOPは「安心できる食と暮らしを、人の温度感とともに届ける」場として。それぞれが異なる戦略を持ち、異なる場面のニーズに応えています。
そして消費者は、それを賢く使い分けています。急ぎの荷物はAmazon、ポイントを貯めるイベント買いは楽天、週の食材はCOOP——同一人物の中に、これだけ異なるニーズが共存しているわけです。マーケティングで問われるのは「誰に選ばれるか」だけではありません。「どんなタイミングに、どんな気持ちで選ばれるか」という問いも、同じくらい重要なのです。
とはいえ、これも一つの「見立て」「仮説」のひとつ。こうした問いを立てる機会をヒントに、ぜひ「自分のサービスは、顧客のどんな場面に潜り込めているのか」と考えてみるのも良いでしょう。
おわりに
3C分析の面白さは、答えを出すことより、問いの質が上がることにあります。
「自社の強みは何か」という問いは、内側を掘っても答えが出にくい。でも、顧客を起点に競合と自社を並べてみると、見えなかった輪郭が浮かんでくることがあります。
次回は、資生堂とロクシタンを題材に、3C分析を試してみます。同じ「美しくなりたい」というニーズの中に、まったく異なるブランドの世界観が見えてきます。
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