わたしの、ダメ社員時代 Vol.4「お前はバカだと、何回言われたことか(笑)。」| カラビナ
人気カウント100
人生に関わる広告なんて、重くない?
冴えない1年目を経て2年目になったある日、テレビを点けたら江副さんが、リクルート株をダイエー中内さんに売っていました。その朝は、私に限らず多くのリクルート社員たちが、ブルーの社章がオレンジ色になるんだろうな、と頭の中で色変換していたことかと思います。
衝撃の2年目は、半年後から制作職に配属。希望の職種となり胸を張りたいところ。しかし、実態は原稿担当という職種の必要性があまりなくなり、順次、制作職へと移行していったのです。職種転換の理由が、元の職種がなくなっただけってさ?思い描いていた華々しいキャリアとはまるで無縁の日々でした。それに、当時のリクルートの制作が作っているものも、なんだかダサイ。もっと、チョコレートとか缶コーヒーとか、インスタントラーメンみたいな、人生に大して関わりのない商品を面白おかしくオシャレな感じで売る広告を作りたかった、などと不遜なことを考えていました。よくいるミーハーな若手ですね(笑)。
取材ってどうするんですか?←この質問がまずかった。
当時の制作は本当に多忙。なおかつ、リクルートは社内コンテストが盛んで、その入賞具合で査定などはもちろん、社内での扱いが上下。昨日まで目立たなかった、あの先輩がクリエイティブコンテストを獲った、となったら、急に尊敬の眼差しでみられる。奴隷から貴族階級に成りあがったくらいの逆転劇。そんな空気ですから、先輩たちはみな殺気だっていました。とにかく、目の前の仕事で入賞したい!!「あいつに負けたくない!圧倒的に勝ちたい」野心がメラメラと燃え上がっていたのです。その横に、ちょこんと配属された噂のダメ社員の私。
はっきり言って邪魔!ですよね(笑)。なので、新しい案件をもらったので隣の先輩などにうっかりと取材ってどんな感じにやるんですか?などと聞こうものなら、「お前はバカか、自分で調べろ」と怒号が飛ぶ。もう一人のリーダーこそ頼れるかなぁ、と思って相談に行っても、その人は指でピアノの鍵盤を叩く真似をしているばかり。人には興味がなかったんですね。その結果、私は、ますます期待されてないんだなぁ、と落ち込みました・・・。(今、思えば。当時は、そんな感情にすら気づく余裕もなかったのかも)
怒られたくない一心で、必殺の質問項目を編み出す!
しかーし、落ち込んでいても仕事は前に進みませんから、と気を取り直し、取材の仕方をイメージしてみたり。会社帰りに本屋に立ち寄りそれっぽい本を買ったり。当時は、インターネットもなく調べるとしたら日経テレコンがあった程度。今より調査はしにくかったと思います。そんな中、担当することとなったのが、とある業界5位くらいのメーカー。正直、あんまりよくわからない。業界順位が上でないと、日経テレコンにも情報らしい情報はない。でも、打ち合わせの翌日には営業と同行してヒアリングをしなきゃいけないのです。恐怖&恐怖。けれど、「どうしたらいいんですか」なんて、愚問を発してまたもや殺気立っている先輩を怒らせたら、どんな目に合うかわからないし。
そう思った私は、とにかく、この会社の特徴を聞き出すことができ、かつ、あまりにも勉強不足に見えない質問を考え切りました!それは、「同じ業界の中で比較して、御社の強みはなんですか?」と言う質問です。これを切り札にすると、強みがわかるだけでなく、競合関係が紐解け、業界地図が見えてきます。さらに強みを生み出す理由を深掘りすることで、社風とか働き方も見えてくる!これは、芋づる式に自白がもらえるヤツじゃん!と思いました。そして、お客様を訪問、おずおずと、この質問から始めてみたら大正解。本当に、教えてもらったことを糸口に、次々と事実を炙り出すことができて、よくわからなかった事業の特徴や業界地図、社風なんかも見えてきたのです。やったー。そして、いま振り返ってみると、これは競争優位性を把握するときの定型的なやり方と酷似していました。こういうの、窮鼠猫を噛むって言うんでしょうか。火事場の馬鹿力の一つでしょうね。
無論、日の目を浴びることはなく・・、暮なずむ。
でも、これだって、あくまで小さな自分の成功体験でしかなくて、それが華やかな結果に結びつくことはなく。周囲も多忙すぎて、私が初めての“単独取材”を成功させても、みな無関心。私も「先輩、聞いてください(ウルウル)」みたいなキャラでもなくて。気づきや小さな成功体験を披露する場もない。思えば、放置プレイの中、孤独に生きていたのだなぁ・・・。うーん、なんてかわいそうな私だったの。と思いつつ、ストーップ。なんだかんだで、独学独走タイプの私には、これはこれで案外、快適だったのかもしれないな。なんて。
とはいえ、いま、C Dだったり社長だったりする自分としては、後輩や社員にはこんな思いさせたくないなぁって思います。どっちかっていうと構いすぎてしまうところもある自分ですが。当時は、毎日をなんとか生きていくだけで必死だったし。人になんと言われても平気な“自分好き”の資質もあって、思い悩むことなく、至近距離だけみて生きていた。いやぁ!いろんな意味で冴えないなワタシ。さて、そんなダメ社員道は、さらに深いどん底へ。続編をお楽しみに。
- NEXT POST
わたしの、ダメ社員時代 Vol.3「可愛がられる素質のなさに、ボー然!」| カラビナ - PREV POST
わたしの、ダメ社員時代 Vol.5「社長の逆鱗に触れる!ついでに上司の逆鱗にも触れる!」| カラビナ
RELATED ARTICLE
関連記事
-
SHIKUJIRI NOTE
わたしの、ダメ社員時代 Vol.8「人生は、ときどき、一晩で変わる。」| カラビナ
わたしの、ダメ社員時代Vol.8 。 今回はわたしのダメ社員時代のお話を数回に分けてしていきたいと思います。 ちょうど、新入社員たちが社会に飛び立っていく時期ですし。 ダメダメな新人時代について振り返らせていただきます。#ダメ社員時代
人気カウント105
-
SHIKUJIRI NOTE
わたしの、ダメ社員時代 Vol.7「いよいよ転職を決意。その夜、突然、閃いた新たな思想。」| カラビナ
わたしの、ダメ社員時代Vol.7 。 今回はわたしのダメ社員時代のお話を数回に分けてしていきたいと思います。 ちょうど、新入社員たちが社会に飛び立っていく時期ですし。 ダメダメな新人時代について振り返らせていただきます。#ダメ社員時代
人気カウント105
-
SHIKUJIRI NOTE
わたしの、ダメ社員時代 Vol.6「出口のない暗黒時代に、オレの三番目に大切なお客様を?」| カラビナ
わたしの、ダメ社員時代Vol.6 。 今回はわたしのダメ社員時代のお話を数回に分けてしていきたいと思います。 ちょうど、新入社員たちが社会に飛び立っていく時期ですし。 ダメダメな新人時代について振り返らせていただきます。#ダメ社員時代
人気カウント106
RANKING
人気記事
-
SHIKUJIRI NOTE
わたしの、ダメ社員時代 Vol.2「希望の職種につけなくて、ボー然。」| カラビナ
わたしの、ダメ社員時代Vol.2 。 今回はわたしのダメ社員時代のお話を数回に分けてしていきたいと思います。 ちょうど、新入社員たちが社会に飛び立っていく時期ですし。 ダメダメな新人時代について振り返らせていただきます。#ダメ社員時代
人気カウント121
-
SHIKUJIRI NOTE
わたしの、ダメ社員時代 Vol.5「社長の逆鱗に触れる!ついでに上司の逆鱗にも触れる!」| カラビナ
わたしの、ダメ社員時代Vol.5 。 今回はわたしのダメ社員時代のお話を数回に分けてしていきたいと思います。 ちょうど、新入社員たちが社会に飛び立っていく時期ですし。 ダメダメな新人時代について振り返らせていただきます。#ダメ社員時代
人気カウント121
-
SHIKUJIRI NOTE
わたしの、ダメ社員時代Vol.1 『恐怖の飛び込み体験。』 | カラビナ
わたしの、ダメ社員時代Vol.1 。 今回はわたしのダメ社員時代のお話を数回に分けてしていきたいと思います。 ちょうど、新入社員たちが社会に飛び立っていく時期ですし。 ダメダメな新人時代について振り返らせていただきます。#ダメ社員時代
人気カウント116
人気記事
-
CARABINER MVV
企業スローガンとは?社是と何が違う?中小企業やBtoB企業での効果的な事例も紹介
ここではミッション、ビジョン、バリュー(MVV)、それぞれの意味や作成方法、その効果や浸透策についてご紹介していきます。企業はミッション、ビジョン、バリューなどの理念体系をまとめることで、自社が目指す方向が明らかになるなど、組織や経営に与えるメリットは多数あります。一方で、どの会社でも言えるような、ミッション、ビジョン、バリューになってしまうと、むしろ社員を迷わせてしまったり、企業への尊敬を薄めてしまったりするケースもあります。経営戦略とも密接に絡みながら、自社の目指すべき方向性やどのように社会に価値を返すかを定義していくミッション、ビジョン、バリュー。自社らしい価値を磨き上げることで、企業の成長に寄与する効果を生み出していきたいものです。人気カウント970
-
CARABINER MVV
ビジョンとは?中小・BtoB企業にも必要?策定方法や導入事例もわかりやすく解説
ここではミッション、ビジョン、バリュー(MVV)、それぞれの意味や作成方法、その効果や浸透策についてご紹介していきます。企業はミッション、ビジョン、バリューなどの理念体系をまとめることで、自社が目指す方向が明らかになるなど、組織や経営に与えるメリットは多数あります。一方で、どの会社でも言えるような、ミッション、ビジョン、バリューになってしまうと、むしろ社員を迷わせてしまったり、企業への尊敬を薄めてしまったりするケースもあります。経営戦略とも密接に絡みながら、自社の目指すべき方向性やどのように社会に価値を返すかを定義していくミッション、ビジョン、バリュー。自社らしい価値を磨き上げることで、企業の成長に寄与する効果を生み出していきたいものです。人気カウント487
-
CARABINER MVV
ミッション、ビジョン、スローガン、それぞれの違いとは? | カラビナ
企業の採用やブランディングにおいて重要なミッション/ビジョン/スローガンについての詳しい解説です。会社の根幹を担う考え方を正しく理解する事は、業績や社員のモチベーション向上につながります。#ミッション#ビジョン#スローガン#違い#ミッション/ビジョン/スローガン
人気カウント427
-
VERY GOOD CONTENTS
わたしコラム|イロトリドリの世界〜アップルグリーン[APPLE GREEN]〜
C40 M0 Y55 K5 /R143 G193 B134 アップルグリーンは、その名の通り、青りんごの色。日本のりんごは赤のイメージで、青りんごの流通は多くないですが、海外では青りんごもそれなりに出回っているので、より馴染みのある色で、アップルといえば、グリーンをイメージする人も多いようです。 幼...#色
人気カウント301
-
VERY GOOD CONTENTS
クリエイティブに触れて|ロバート秋山の市民プール万歳
「クリエイティブに触れて」第1回、私がみなさんにご紹介したいのは、amazonプライムで見つけた番組です。タイトルは「ロバート秋山の市民プール万歳」。番組の説明には、「市民プール愛好家のロバート秋山が、日本各地の市民プールをただただ遊泳する」とあるではないですか。私の頭の中は軽いパニック。市民プールの番組?見たことない。そもそも番組になるの?しかも再生時間は60分。シリーズ1は6エピソードあり、シーズン2も出ている。市民プールで泳ぐだけでシーズン2?ネタでもやるの?ゲストを呼んで掛け合いか?ディレクターでもないのに気になることだらけで、思わず再生してしまいました。#クリエイティブに触れて
人気カウント266