わたしの、ダメ社員時代 Vol.2「希望の職種につけなくて、ボー然。」| カラビナ
人気カウント122
すっかり大人になってしまった、今の目線では、自社の社員やリクルート時代の後輩、たまに出会う若手の甘えた意見に「ピシャリ」と何か言ってやりたい気になる私ですが(笑)。振り返ると、相当ヤバイ社員だったなと思う、今日この頃。今回も、ダメすぎて笑える新人時代の自分を振り返ってみたいと思います。
使い勝手が良かった、『リクルート』という社名。
リクルートを志望したのは、もちろん、ベンチャー風土や謎の情報誌ビジネスを作り出す事業創造力に惹かれていた点もあります。しかし、最もホンネに近いのは、「ここでも、広告がつくれそう。編集の仕事なんかもできる。」といったことでした。私は、いわゆるクリエィティブ志望。当時、就職活動の際には、広告や出版系を受けるときには、「第一志望群は、そうですね。電通、マガジンハウス、リクルート・・・」なんて言い、一般の事業会社を受ける時は、「伊勢丹、リクルート、・・・」とか、何かと間に挟んでおくと、「なーるほど」と面接官一同が神妙にうなづいてくれて、とっても使い勝手のいい社名だったことを今でもよく覚えています。そんな私ですから、配属の希望はとにかく大型の広告が作れる新卒の事業部(現在のリクルートキャリア+リクルートコミュニケーションズのような感覚)。狙ったわけではありませんが、江副さんが立ち上げた長男事業。まんまと配属までは希望通りでしたが、職種が希望ではありませんでした。
モチベーションが下がり続ける”原担”の私。
その職種名は「原稿担当」。なかなかに、なんじゃそら?という名称ではありませんか。当時はバブル崩壊間際。仕事は飽和し、多すぎる仕事量を捌いていくために業務を細分化し、制作職の一部であった、お客様への原稿プレゼンと修正の回収から入稿までを行う職種として「原稿担当」を新設。そこに正社員をあてがうというトライアルの初年度(ではないか?)だったのです。名刺に書かれる職種名は「制作」がよかったのに!と当時、原稿担当に配属された同期と嘆き、原稿担当に配属されてしまった1年上の美人の先輩は、この職種名が「原担」と略されて書かれた書類が手元に届くたびに、赤いボールペンを出して「原稿担当」と赤入れしていました。なんとなく、他の「営業」や「制作」と比べると雑用係の匂いがするし、だいたい、意味も生していない。こうして、原稿担当の名をもらった若手社員たちのモチベーションはググッと下がったのでした。
さらに、この仕事は想像以上に難易度が高いのです。一見、“プレして回収”とアシスタントワークチックですが。そもそも、プレゼンの前日くらいに先輩の制作から原稿を見せられるまで事前情報はなし(社名くらいはわかるが)。そこで初めて意図を聞いて、お客様先に持っていく。万が一、ボツにでもなった日には大いに詰められる。とても、プレゼンの技術がいるのです(笑)。原稿が通ったにせよ、その後は修正のやりとり。それは、まだ良いとして、厄介なのが、当時、財務四指標を必ず掲載しなければいけないというルールがあったことです。しかし、非上場企業などでは、この指標を公開する義務はありません。あくまでリクルートが「学生のために」と決めた掲載ルール。ここでまた、ゴネるお客様を説得する。
なかなかいい感じの滑り出し。
でも評価はイマイチ…。
でも、思い返すと私。職種名は気に入らなかったけど、この仕事は結構、ラクラクやっていた気がします。どうやら自分から能動的に飛び込むのは苦手だけど、「火事場」には強いタイプなんでしょうね。先輩から預かった、見るからにとんでもない原稿を、足立区のはてにプレに行ったら、お客様が激怒!うちはこんな事業をやっているんじゃないと怒られ、途中まで「本当、この原稿、直してもらおっと」とひとごと感満載でうなづいていたら、なんと「明日が入稿日じゃん」と途中で察知。「なんとか、切り返さんと!」と話を聴きながら頭をひねりました。そして、一通り聞いた後に、にこやかに「でも、御社の事業って学生はどれくらい理解しているんでしょう?」と質問したら、「いやぁ、誰も知るわけないよぉ」と返答。「でしたら、事業を伝える前に、まず注目してもらうことが先決では?」と畳み掛けると「その通りだよね」と。「それで・・・この原稿です。」と。
そこはワニスという特殊なニスをつくる工場だったのですね。その新卒を募集するためのキャッチコピーは「わにざめの次です。」という、いかにもお客様が喜びそうもないものでした。
プレゼンのプロセスは本当はもっと複雑でしたが、ここでは割愛。とにかく帰り道は、お客様の満面の笑顔で見送られ、原稿は無事に輪転機へ!誰も知らない自分のだけのエピソードです。
私って、”つかみどころのない系”社員!?
それなりの、小さな快挙を重ねていても、会社ではなんとも見るところのないダメ社員。査定の時期には、「戸部は、査定的には平均点なんだけど、残業して頑張ってないから、一つ低い方にしといたよ!」と言われ、「おいおい、この会社は実力主義じゃないんかい?」と思ったけれど。たかが、半年の査定にピーピーいうこともないな、とやり過ごしたりしていましたね。
1年目の原稿担当時代の私は、今、自分が上司だったら、とにかく「扱いにくい子」。何考えているかわからないし、変なところに余裕を見せたり、意地を張ったり。わかりやすく、やる気を見せるガツガツ系の新人とも違うし、華やかにお客様の心を掴んでしまう同期の女子営業のような“見どころ”もない。コミュニケーションがとりにくくて、不気味な存在だったのだと思います。
こういう話を書いていると、「何考えているか、わかんない子」をもっと大切にしなきゃって思いますね。実は、私。自分とあまりにも似ているタイプは苦手なのかもしれません。
RELATED ARTICLE
関連記事
-
SHIKUJIRI NOTE
わたしの、ダメ社員時代 Vol.8「人生は、ときどき、一晩で変わる。」| カラビナ
わたしの、ダメ社員時代Vol.8 。 今回はわたしのダメ社員時代のお話を数回に分けてしていきたいと思います。 ちょうど、新入社員たちが社会に飛び立っていく時期ですし。 ダメダメな新人時代について振り返らせていただきます。#ダメ社員時代
人気カウント105
-
SHIKUJIRI NOTE
わたしの、ダメ社員時代 Vol.7「いよいよ転職を決意。その夜、突然、閃いた新たな思想。」| カラビナ
わたしの、ダメ社員時代Vol.7 。 今回はわたしのダメ社員時代のお話を数回に分けてしていきたいと思います。 ちょうど、新入社員たちが社会に飛び立っていく時期ですし。 ダメダメな新人時代について振り返らせていただきます。#ダメ社員時代
人気カウント106
-
SHIKUJIRI NOTE
わたしの、ダメ社員時代 Vol.6「出口のない暗黒時代に、オレの三番目に大切なお客様を?」| カラビナ
わたしの、ダメ社員時代Vol.6 。 今回はわたしのダメ社員時代のお話を数回に分けてしていきたいと思います。 ちょうど、新入社員たちが社会に飛び立っていく時期ですし。 ダメダメな新人時代について振り返らせていただきます。#ダメ社員時代
人気カウント107
RANKING
人気記事
-
SHIKUJIRI NOTE
わたしの、ダメ社員時代 Vol.5「社長の逆鱗に触れる!ついでに上司の逆鱗にも触れる!」| カラビナ
わたしの、ダメ社員時代Vol.5 。 今回はわたしのダメ社員時代のお話を数回に分けてしていきたいと思います。 ちょうど、新入社員たちが社会に飛び立っていく時期ですし。 ダメダメな新人時代について振り返らせていただきます。#ダメ社員時代
人気カウント122
-
SHIKUJIRI NOTE
わたしの、ダメ社員時代Vol.1 『恐怖の飛び込み体験。』 | カラビナ
わたしの、ダメ社員時代Vol.1 。 今回はわたしのダメ社員時代のお話を数回に分けてしていきたいと思います。 ちょうど、新入社員たちが社会に飛び立っていく時期ですし。 ダメダメな新人時代について振り返らせていただきます。#ダメ社員時代
人気カウント116
-
SHIKUJIRI NOTE
わたしの、ダメ社員時代 Vol.6「出口のない暗黒時代に、オレの三番目に大切なお客様を?」| カラビナ
わたしの、ダメ社員時代Vol.6 。 今回はわたしのダメ社員時代のお話を数回に分けてしていきたいと思います。 ちょうど、新入社員たちが社会に飛び立っていく時期ですし。 ダメダメな新人時代について振り返らせていただきます。#ダメ社員時代
人気カウント107
人気記事
-
CARABINER MVV
企業スローガンとは?社是と何が違う?中小企業やBtoB企業での効果的な事例も紹介
ここではミッション、ビジョン、バリュー(MVV)、それぞれの意味や作成方法、その効果や浸透策についてご紹介していきます。企業はミッション、ビジョン、バリューなどの理念体系をまとめることで、自社が目指す方向が明らかになるなど、組織や経営に与えるメリットは多数あります。一方で、どの会社でも言えるような、ミッション、ビジョン、バリューになってしまうと、むしろ社員を迷わせてしまったり、企業への尊敬を薄めてしまったりするケースもあります。経営戦略とも密接に絡みながら、自社の目指すべき方向性やどのように社会に価値を返すかを定義していくミッション、ビジョン、バリュー。自社らしい価値を磨き上げることで、企業の成長に寄与する効果を生み出していきたいものです。人気カウント970
-
CARABINER MVV
ビジョンとは?中小・BtoB企業にも必要?策定方法や導入事例もわかりやすく解説
ここではミッション、ビジョン、バリュー(MVV)、それぞれの意味や作成方法、その効果や浸透策についてご紹介していきます。企業はミッション、ビジョン、バリューなどの理念体系をまとめることで、自社が目指す方向が明らかになるなど、組織や経営に与えるメリットは多数あります。一方で、どの会社でも言えるような、ミッション、ビジョン、バリューになってしまうと、むしろ社員を迷わせてしまったり、企業への尊敬を薄めてしまったりするケースもあります。経営戦略とも密接に絡みながら、自社の目指すべき方向性やどのように社会に価値を返すかを定義していくミッション、ビジョン、バリュー。自社らしい価値を磨き上げることで、企業の成長に寄与する効果を生み出していきたいものです。人気カウント487
-
CARABINER MVV
ミッション、ビジョン、スローガン、それぞれの違いとは? | カラビナ
企業の採用やブランディングにおいて重要なミッション/ビジョン/スローガンについての詳しい解説です。会社の根幹を担う考え方を正しく理解する事は、業績や社員のモチベーション向上につながります。#ミッション#ビジョン#スローガン#違い#ミッション/ビジョン/スローガン
人気カウント427
-
VERY GOOD CONTENTS
わたしコラム|イロトリドリの世界〜アップルグリーン[APPLE GREEN]〜
C40 M0 Y55 K5 /R143 G193 B134 アップルグリーンは、その名の通り、青りんごの色。日本のりんごは赤のイメージで、青りんごの流通は多くないですが、海外では青りんごもそれなりに出回っているので、より馴染みのある色で、アップルといえば、グリーンをイメージする人も多いようです。 幼...#色
人気カウント301
-
VERY GOOD CONTENTS
クリエイティブに触れて|ロバート秋山の市民プール万歳
「クリエイティブに触れて」第1回、私がみなさんにご紹介したいのは、amazonプライムで見つけた番組です。タイトルは「ロバート秋山の市民プール万歳」。番組の説明には、「市民プール愛好家のロバート秋山が、日本各地の市民プールをただただ遊泳する」とあるではないですか。私の頭の中は軽いパニック。市民プールの番組?見たことない。そもそも番組になるの?しかも再生時間は60分。シリーズ1は6エピソードあり、シーズン2も出ている。市民プールで泳ぐだけでシーズン2?ネタでもやるの?ゲストを呼んで掛け合いか?ディレクターでもないのに気になることだらけで、思わず再生してしまいました。#クリエイティブに触れて
人気カウント266