カラビナのネーミングプロジェクト | カラビナ
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こんにちは。コピーライター兼ディレクターの西野です。
普段は、企業ブランディングや採用、理念浸透でお困りのお客様から、Webやパンフレットの制作をご依頼をいただくことが多いカラビナですが、時折ネーミングについてもお声がけいただきます。
しかしいざ考え始めると、会社やサービスが長く愛されるように名付けたい気持ちはあるものの、ひとつの名前に落とし込んでいくのはなかなか難しいところ。新事業や、新商品の立ち上げをご担当されている方の中には、ネーミングを任され、頭を悩ませている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、そんなネーミングについて、私が制作する時に大切にしていることや、カラビナでの制作プロセスなどをご紹介したいと思います。
良いネーミングが持っている機能・役割
ネーミングには、大きく分けて二つの役割が求められていると考えています。
1つ目は、「マーケティングを行う上で必要な役割を担っていること」です。主な役割として、
「特徴が掴める」
「イメージに合っている」
「ターゲットにフィットしている」
などが挙げられます。名付ける対象によって、親しみやすさが必要だったり、高級感が必要だったりと、求められるものは異なりますが、まずはそれ自体を正しく表現できていることが大切です。
2つ目は、「名前本来の役割をしっかり果たしていること」。
つまり、
「覚えやすい」
「読みやすい」
「言いやすい」
「判別しやすい」
など、名前として機能できるかどうかがポイントです。実際に使いやすいのかどうか、世に出たところを想定して検証します。
いざ、ネーミングを考える
この2つの機能を兼ね備えたネーミングを、ただ闇雲に考えても、なかなか納得できるアイディアは出ないものです。どのように考えたら良いのか、一例として、弊社がネーミングを考える時のプロセスをご紹介したいと思います。
1. 取材をする。
良いネーミングにするために欠かせないのは、まず、名付ける対象を深く知ること。これが第一歩になります。会社やサービスの内容はもちろん、背景にあるストーリーも重要。社名であれば「経営者が起業するまでの想い」、サービスであれば「何を成し遂げ、世の中にどのような貢献したいのか」などを、具体的に伺います。会社やサービスが生まれたきっかけなども伺っておくと、思わぬ所で役立つヒントになることがあります。
社内プロジェクトのネーミングを考える際は、ワークショップやアンケートを行うのも良いかもしれません。
2. ビジョン、理念、強みを深掘りして「軸」を決める
つづいて、取材で語られた内容をさらに深掘りしていきます。例えば、新サービスの場合、競合優位性を追求し、「勝つためには何を言えばいいのか」、「何を表すべきなのか」を、深掘りします。ここで、ネーミングを考えるための「軸」を決めるのです。カラビナでは、この「軸」を見出すことに時間をかけます。軸が決まれば、適したワードが探しやすくなり、チームで1つの方向を見ることができます。
3. 連想できる言葉を挙げられるだけ挙げる
考える軸が決まったら、それをもとに発想を広げ、思いつくままに単語や言葉を挙げていきます。ひらがな、カタカナ、漢字、英語など、脳みそを絞って単語を出し尽くします。さらに、出揃った単語から連想ゲームのように関連するワードを洗い出します。
言葉が浮かばないときには、とにかく多くの言葉に触れることが大切です。辞書だけでなく、普段読まない本を開いたり、知らない歌を聴いたりもしながら、キーワードを探していきます。
4. ネーミング案を考える
言葉が出尽くしたら、ようやくネーミングです。言葉を組み合わせたり、文字の一部を変えたり、時に語呂合わせなどもしながら、具体的に考えていきます。この時は良し悪しを考えず、とにかく大量にアイディアを出すことがポイント。カラビナでは何度も社内プレゼンを繰り返します。お互いがお互いの視点を取り入れながら、数はどんどん膨らんでいきます。
下記のような工夫をすることで、さらに多くのアイディアが出やすくなります。
・キーワードを組み合わせる
・逆から読んでみる
・英語に翻訳してみる
・略してみる
何度も社内プレゼンを行っていると、徐々に傾向が見えはじめます。削っては考え削っては考えを繰り返し、最終段階で残ったネーミング案から熟考していきます。
5. ネーミング案を練る
ここは仕上げる工程。ここまでくると言葉は大概出尽くしていて、表現している内容が核心に近付いていることを感じられるでしょう。おおむねマーケット向けの機能は満たしており、方向性もいくつかに絞られることがほとんどです。練り上げる時のポイントとして「名前本来の役割を果たす」工夫について、解説したいと思います。
人が覚えやすい名前とは?
日本では「サーティワンアイスクリーム」でおなじみのアイスクリーム屋さん。実は、米国をはじめ海外では2人の創業者の名前である「バスキン・ロビンス」と呼ばれています。日本に上陸した1974年当時「外国人の長い名前は親しまれにくい」という理由で、「31」の名前で展開されたとも言われています。
人は全く聞いたことがない言葉を覚えたり、使いこなしたりするのは難しく、耳馴染みのある言葉や、どこかで聞いたことのある響きに親しみを覚え、記憶もしやすいものです。アイディアを練るときには、 「この単語をもう少し簡単に表せないか」
「聞いたことのある言葉で表せないか」
「語呂合わせができる案はないか」
などの工夫を重ねると、親しみやすいネーミングが生まれるかもしれません。
注意点
ネーミングの完成前。せっかくのネーミングが、実は使えないものだったということがないように、ひとつ注意が必要です。
真っ先に浮かぶのは、商標登録の確認です。特許庁が公開しているサイトで手軽に調べることができますので、利用してみてください。
特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)(外部サイトにリンクします)
https://www.j-platpat.inpit.go.jp/
海外で使用することが確実な場合は、展開する国でも使用できるものか、確認する必要があります。例えば、ホンダの「フィット」という車。スペイン語のスラングを含んでいることから、アメリカや中国以外では「ジャズ」という名前で売られているそうです。スラングまで調べるのはなかなか大変ですが、人力の翻訳サービスなどで調べてみるのも良いかもしれません。
これらを踏まえて社内ミーティングを重ね、3、4方向のコンセプトそれぞれに10~20案程度に絞り込みます。そうしてまとまったアイデアを、いよいよお客様にプレゼンです。気に入っていただいたもの、気になっているものを選んでいただき、そこからまたアイディアを絞り出すこともあります。その後、何度かのやり取りを経て最終的に決定します。
ネーミングの目的はさまざまで、単純に売上などのKPIだけでは測れない部分も多くあります。もしネーミングを考える機会があるようでしたら、会社やサービスが末長く愛されるように、そのプロセスも楽しみながら生み出してほしいと思います。もちろん、弊社へのご依頼も大歓迎です。
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