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2022.09.06

クリエイティブに触れて|ロバート秋山の市民プール万歳

クリエイティブに触れて 

「クリエイティブに触れて」第1回、私がみなさんにご紹介したいのは、amazonプライムで見つけた番組です。タイトルは「ロバート秋山の市民プール万歳」。

番組の説明には、「市民プール愛好家のロバート秋山が、日本各地の市民プールをただただ遊泳する」とあるではないですか。私の頭の中は軽いパニック。

市民プールの番組?見たことない。そもそも番組になるの?しかも再生時間は60分。シリーズ1は6エピソードあり、シーズン2も出ている。市民プールで泳ぐだけでシーズン2?ネタでもやるの?ゲストを呼んで掛け合いか?ディレクターでもないのに気になることだらけで、思わず再生してしまいました。

まずは番組の冒頭、「情報性・読後感ゼロなので、見た後になにも残らなくても怒らないでください」という旨のアナウンスが流れます。基本的な構成は以下の通り。

市民プールの最寄駅からロケをスタート。
(時々、お友達のポイズンガールバンドの阿部氏が同行)

街の人とふれあいながら、基本徒歩でプールへ向かいます。

温水プールのシンボルとも言える、清掃工場の煙突を見つけてひと盛り上がり。
「巨大な煙突の下にプールあり」は、番組内で格言と化しています。

プールに到着してチケットを購入し、地元の方とお話しつつ、遊泳。

ひとしきり泳いだら、「プールめし」。消費したカロリーを取り返すべく、近隣の中華料理、定食屋、洋食屋に駆け込み、消費カロリーの10倍以上を摂取して番組終了。

そう、ネタもやりませんし、豪華なゲストも登場しません(阿部さんは私の中で準レギュラー)。でも、たくさんの魅力が詰まった番組でした。

人との触れ合いのあたたかさ

秋山氏は、目が合う人や、手を振る人たちに愛想よく答えます。「ヴィーナスを探す」と称して、40歳を超えた秋山氏より20も30も、時には40以上も年上の女性(以下、お姉様方)に積極的に話しかけ、うっすら下ネタも入りながら、笑顔で会話が続いていきます。お姉様方も、秋山が相手だと際どい会話にも笑顔で乗ってくるから不思議です。

遊泳の魅力

侮れないのが遊泳の魅力。秋山氏、非常にゆったり泳ぎます。フォームのきれいさは僕にはわかりませんが、少ないストロークでぐんぐん進む様子が見てとれる。見ていて気持ちがいいのです。ちなみに、この番組がきっかけかどうかは謎ですが、彼は2018年ベストスイマー賞を受賞しています。

さらに、この番組を見ていると自然と泳ぎたくなるから不思議。同じところを何往復もする姿を見ているだけで、体が動きそうになります。今まで行ってみたいとも思わなかった市民プール。私はこの番組をきっかけに、水着を買う決意をいたしました。

秋山という人のおもしろさ、凄さ。

ロバートというトリオはみなさんもご存じでしょう。最近はその活動のみならず、「クリエイターズファイル」というコンテンツでも注目を集めています。架空の人物を演じ、共感させてしまう演技力とビジュアル。キャラクターにも入れるし、本人として平場で話をしてもおもしろい。タレントとしてブランディングが確立されている芸人さんです。

彼の言葉で印象的だったのは、古かったり、独特なもの見つけたとき「いいですね!」と表現すること。同じレーンで泳ぐお姉様方の少し派手目のペディキュアを愛おしそうに褒めたり、道中で見かけた、看板の文字が見えないほど禿げてしまった床屋を訪ねてみたり、モノを愛する力に感心しました。見ただけで物語を作ってしまう力というか、想像力、妄想力が豊かです。フィットネスジムのプールではなく、市民プールを愛するというところも彼らしく、味わい深いです。

市民プールという、僕にとって未知の世界を教えてくれたこの番組。(たまに飛び出す下ネタがダメなのか、13+なので小学生以下はごめんなさい。)くだらない番組がお好きな方におすすめです。ちなみに、シーズン3も地上波では放送されている模様です。今から配信が楽しみです。

Written by
YUSUKE NISHINO

DIRECTOR & COPYWRITER

フリーランスのデザイナーとしてキャリアをスタート。2005年頃からデジタル領域に進出、ナショナルクライアントのサイト製作・ECサイト立ち上げ、運用などを経験。Webの制作進行から、お客様の課題把握、企画提案、コピーライティングまで行う。強みは前向きさと粘り強い挑戦心。