SHIKUJIRI NOTE
2021.09.29

わたしの、ダメ社員時代 Vol.8「人生は、ときどき、一晩で変わる。」

ダメ社員時代 

今でも、たくさんダメなところがある私。社長になってからは、日付と曜日を間違えることが得意分野になりました。机の上の散らかり方も、この頃はますますレベルアップしてきて。。そんな私のD N Aにしっかりと埋め込まれているダメ社員時代も、今回が本当の最終回。正直、自分でも驚くような変化があっという間に・・。

心機一転からの、最初の奇跡

前回、お話しした通り、一度、退職を考えたものの。自分はリクルートにある豊富な機会を生かせず、自分で自分の可能性を閉ざしていたと気づいた土曜日。そして、心機一転して晴れ晴れと出社した月曜日に、最初の奇跡はやってきました。まずは、この時期、当たり前のようにある1Pほどのモノクロの新規原稿を担当することに。そこは全国銀行協会という、銀行を支えるサブ的な団体でした。やはり華々しい事業でもなく、名称も地味です。けれど、堅実な仕事はできるし安定もしている。だからって、条件に頼った無難な広告なんて作りたくはない!ということで頭を悩ませていたら、ふと。いつも、私に対して怖い上に絶対に相手にしそうもない隣席のデキる先輩に相談してみようと思いついたのです。土曜の決心以来、さらに「怖いものなし」。なんなら、手痛い失敗を3つ4つしたら大手を振ってやめりゃいいんだから、あるものは利用しなきゃね。

決心からのあっさりと成果が

というわけで、「Aさん、あのう。原稿の件なんですけど」と声をかけたら、すごく怯えた感じで怪訝そうな顔をされました。今まで、とても仲が悪かったんですよね。理由を話すと、大きいところがある彼女は、「よし!」と打ち合わせをしてくれることに。自分が立てた企画を披露すると意外にも「悪くないね。でも、頼むクリエイターを間違えると面白さがわかってもらえないかも」と。彼女から大御所をご紹介されて、原稿を依頼することに。これも賞には届かなかったのですが先輩に見せたら「いいね、可愛いじゃん」と高評価。このあたりから、先輩は私に興味を持ってくれ、私も「こりゃ、いいぞ」とばかりに、その他もろもろの相談をしてみることに。気がつくとビシビシと指導されながらも、愛を持って受け入れてもらえる存在に昇格!そんな矢先に、独自に仕込んでいた、昨年来から担当している道路会社の原稿で、初のクリエィティブコンテストに入賞。これって、快挙です!それも部内は余裕で突破して、全国で3位(1位2位がない実質1位)を成し遂げて。一気に、先輩からのお覚えは目出たくなりました。

先輩からの愛ある指導

てなわけで、思えば決心の日から2ヶ月と経たないうちに、コンテスト入賞というわかりやすい成果を手にした私。それからの道のりも、決して平坦ではありませんでしたが、それまでとまるで異なることは、私のそばに、いつだって相談できる「先輩」という輝かしい存在があること。これって、なんて心強いことなんでしょう。ちゃんと怒ってくれたり、小さな気づきを話しても良かったりする先達者がいることの幸福よ!そして、その存在がなかった時の暗黒感といったこととは・・。

プライド高かった新人時代を経て

という、私のダメ社員時代ストーリー。誰もが、ちょっとした一歩を踏み外すことで雪だるまの様に評判を落としていく。新人のコミュニケーション能力の低さ。ありがちで無駄なプライド。甘え下手。しまいには、「悪い期待にこたえてしまう」やけっぱち感。それは、30年近く前の私であり、今、どこかにいる誰かであるかもしれませんね。
私は、その後、運よく退職後もリクルートのCDとして多くの大好きな後輩たちに恵まれ、大切な社員たちと出会うことができました。今も長くダメ社員であった誇りを持って仕事をしています。でも、私が接することができる人たちには、こんな思いさせたくないですね。仮にそれが、人を強くすることだとしても。

Written by
FUMI TOBE

CEO & CREATIVE DIRECTOR

代表取締役 クリエイティブディレクター/コピーライター 心理学科卒 91年 株式会社リクルート入社。ベンチャーから大手企業までの企業広告、ブランディングに関わる。2000年、クリエイティブディレクター/コピーライターとして独立。TCC会員。 【受賞歴】 東京コピーライターズクラブ新人賞/産業広告賞/福岡コピーライターズクラブ賞/東京コピーライターズクラブ ファイナリスト/BtoB広告賞金賞 など