心を開いてもらえる!? 取材の、空気のつくり方。
PLANNING / DIRECTION
心を開いてもらえる!? 取材の、空気のつくり方。
2018.03.22
POSTED BY FUMI TOBE
#コピーライター #ディレクター #コミュニケーション #ヒヤリング #講座

省庁、商社、銀行、メーカー、IT、流通・・・。とまぁ、ほとんどすべての業種を担当してきた私。難解なお話から人情味溢れるお話まで、様々な人間模様を伺ってきた。そんな経験から、取材についてお話しできればと思います。かく言う私、今でこそ、そんな面影はありませんが、どちらかと言うと「人見知り」。初対面の人に会うのは、そんなに得意ではありません。ましてや取材など・・・。ですから、新人ディレクター時代はできるだけ、コピーライターの方に取材をまるっとお任せしていました。そんな私でしたが、取材を繰り返すうちに、「インタビュー、とても話しやすかったです。」とか、「自分のキャリアを整理するきっかけになりました。」などと言っていただけることが増え。(毎回ではありません。念のため)新聞社を担当していたときには、若手の方に「ヒアリングの仕方を教えてください。」とまで言われたこともありました。つまり、多少なりとも、聞かれた人にとっても悪くないインタビューができるようになったとも言えるのかも。というわけで、少しばかり取材で大切にしていることを、お話しさせてください。

ちなみに・・・
取材の際には、まずは先んじて先方に取材の趣旨や質問内容を投げておくべきです。(特別な狙いがない限り)ただ、その具体的な内容は、今回は割愛します。(取材の狙いによりますからね)それよりは、頭で考えるだけでは見えてこない、取材の場になったときの、主には空気の作り方について、ご紹介していきます。

私から、ざっくばらんになろう。

まずは、スタンス。取材の基本は、なんと言っても相手への共感です。だから、こちらの聞きたいことだけを淡々と聞いたら、相当、盛り下がった取材になりますよね。そして、こちらが相手に共感するために重要なのが、コンテキスト理解。つまり、どんな感じでここまで生きてきて、いま、なぜここにいるのかと言うこと。ここに、たっぷりと時間は取れなくても、基本的にはスタート時に経歴を聞き、意外なところや個性が見える部分にはつっこみを入れ、その方の価値観や経験などを頭に入れておくと、伺うエピソードに対して意味づけがしやすくなります。
さらに、細かいけれど重要なこととして、明瞭な声でオープンなムードを出すこと。態度は伝染するので、まず、こちらが「ざっくばらん」になれば、相手の方もそうなるのです。ただ、経験の少ない人ほど、「ちゃんとせねば!」と思い、カタくなったり、真面目さにこだわって暗いオーラを出しちゃったりするので、そこはご注意を。口調も始まりは「ですます」がよいでしょうが、少し空気が馴染んできたら、敬語にこだわりすぎない方がよいのです。(偉い方を除き)

脳をその時代に戻す、聞き方。

次の基本は、時系列。ある一定の時代に遡って聞く場合は、そこに至るまでの流れを聞くほか、その仕事や案件に出会って個人としてどう感じたのかなど「感想」もちゃんと聞く。オフィシャルな面だけでなく、人として素顔のところも聞いていきます。そうすることで、その方の脳内でその時代が蘇ってきますよね。そうしたマインドセットを行った上で、具体的なエピソードを聞くよう心がけています。また、うなずき方にもバリエーションがあります。ちなみに心理学科だった私は、かつて心理カウンセラーの講義に出て、ひたすら「へー」「ほー」「ううん」と言ったうなずき方の練習をしたことがあります。(やや退屈でしたが)心理カウンセラーは、基本的には状況が良くない方が対象となるので、より優しく侵襲度の少ない話の聞き方をしますが、取材も大きな意味では一緒です。「へえ」と驚いたり、笑ったり、同情したり。取材者ではなくて、一個人として感情移入をし、相手の感情に寄り添うことが、話しやすい空気を作るのだと思います。

あえて、話を評価する。

“話を評価する“とは、ちょっと不思議な書き出しですが、取材というと、どうしても「聞く」にこだわりがち。ですが、「聞く」だけではダメなんですね。相手の方によりますが、大半の方がしっかり事実は話してくれますが、「どれだけ自分が大活躍したか」や「実は泣くほど辛かった」みたいなことは恥ずかしくて教えてくれません。でも、それじゃ読み手が共感したり感動したりする話にはなりませんよね。かと言って「で、どう思われたんですか?」と聞いても本音が出ないだろうし。そこで行うのは、相手のお話を評価すること。つまりは、「これまで、そういう経験がなかったAさんにとっては、それは、相当ハードルの高いことだったんじゃないですか?」とか、「普通だったら、ここでメゲますよね〜。なんで、そこまでやれたんですか?」とか。「昔の友人が見たら、すごいびっくりなチャレンジですね」とか。なんらかの指標を用いて、その話に対する感想を述べるのです。これ、質問形式ではありませんが、必ず深い話が引き出せるやり方です。

大きなこと、抽象的なことは最後に聞く。

こうして色々なエピソードが引き出し終わると、いよいよ、その仕事や事業は、その方にとって、どんな意味があるのか、など「大きなこと」を聞きたくなる瞬間です。こうした壮大なテーマは、場が温まりしっかりと自己開示していただいた後にこそ聞くべきこと。取材というわずかな時間でも、こちらを信頼していただければ、「普段、考えていたけど、口にできていなかったビジョン」などを語ってもらえるのです。そして、その際には、これまでの歩みの振り返りを行うとベストです。たとえば、「昆虫好き少年が、機械に目覚めてメーカーに入ったけど、今は、なぜかM&Aとかに立ち会っているわけですよね。そんなご自分、想像されてました?」などと前振りし、何かしら答えをいただいた上で、「現在の仕事は、Aさんにとって、どういう意味があるのですか?」などと聞いてみる。すると、相手の方も、人生のスケールで答えを返してくれることが多いように思います。と、ざっと、私なりの取材のコツでした。そして、取材におけるオススメ本は、もちろん、阿川佐和子さんの「聞く力」、「プロカウンセラーの聞く技術」のほか、黒柳徹子さんのインタビュー術(ちょっとタイトルが思い出せませんが・・・)などがとても役に立ちました。

Posted by
FUMI TOBE / CEO / CREATIVE DIRECTOR
代表取締役 クリエイティブディレクター/コピーライター 心理学科卒 91年 株式会社リクルート入社。ベンチャーから大手企業までの企業広告、ブランディングに関わる。2000年、クリエイティブディレクター/コピーライターとして独立。TCC会員。 【受賞歴】 東京コピーライターズクラブ新人賞/産業広告賞/福岡コピーライターズクラブ賞/東京コピーライターズクラブ ファイナリスト/BtoB広告賞金賞 など

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