採用に使えるコンテンツマーケティングの作り方
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採用に使えるコンテンツマーケティングの作り方
2017.05.31
POSTED BY TADASHI YOKOYAMA
#コンテンツマーケティング #採用

今回は、コンテンツマーケティングの話を少しだけ書こうと思っています。
ざっくりと斜め読みでも、なんとなくわかるような内容になっていますので、軽い気持ちで読んでいただけると嬉しい限りです。

幅広いコンテンツマーケティングという定義

コンテンツマーケティングでネット検索をすると、広告を含め情報サイトやブログなど多くの情報が世にあふれています。
本格的なデジタルマーケティングの内容から基本知識のような情報までネットでは充実しており、検索エンジンで調べるだけで必要な情報が集まるほどの事例データがあります。そこではほとんど、記事でコンテンツマーケティングの有効性が書かれているわけですが、なかなか自社のコンテンツマーケティングはうまくいかないといった悩みがあるのではないでしょうか。

ただ採用マーケットにおいては短期的な課題も多く、コストを度外視すれば、スピード感高く採用広告を展開し、人員の補充ができます。ただ、近年人材獲得競争も激しく、競合他社との優位性をしっかりとターゲットに伝え、優秀な人材を呼び込むためには、あらゆるタッチポイントを作る必要に迫られています。

世の中にはコンテンツマーケティングで溢れている

そのような内容を読んだ上で、コンテンツマーケティングは効果的という認識でスタートした企業も多いと思います。実際に古いデータにはなりますが、2015年に株式会社グルーバーによる広告主のコンテンツマーケティング実施動向に関する調査データを見るに

デジタル領域で何らかのコンテンツマーケティング施策を実施しているのは全体の83%、外部のデジタルメディアへの記事広告の出稿を行っているのは過半数

というレポート結果が出ています。
注釈:グルーバー、広告主のコンテンツマーケティング実施動向調査を実施

確かにいろんなところで「低コストで始められる採用ブランディング」として言われている通り、イニシャルコストも低く、ハードルが低いこともあって上記のデータの通り現在では多くの企業がオウンドメディアを持っていますが、一部の企業ではうまく運用ができないため効果が出ず、「オウンドメディア(コンテンツマーケティング)は全然駄目」と思われているかもしれません。
しかし、実はコンテンツマーケティングの歴史は1895年ごろからごく一般的な広告手法のひとつであることをご存知ですか?
効果的な広告の一つとして長い歴史を持っています。その手法をネットワーク上で再現したものが2015年ごろにマーケターの発信を起点に日本で流行りだしたというわけです。

もし、効果の無い駄目な広告手法だとしたら、100年以上の歴史を持っている広告手法になっているのでしょうか…。

採用分野におけるコンテンツマーケティングの本当の利点

多くのコンテンツマーケティングを読み解くことで見えてくる利点は、決して短期的なコスト削減で採用効果が得られるものではありません。

コンテンツマーケティングの運用を売りとする企業も発信している通り、ブランディングの広告手法であり、効果が出るには時間がかかります。長い時間をかけてターゲットに企業の良いイメージを持ってもらうため、従来の採用サイトや求人メディアなども同時にうまく活用しながら、企業メッセージを顕在層や潜在層へ伝え、中長期及び短期的な効果改善につながるものであると言えます。

また、オウンドメディアを始めとしたコンテンツマーケティングには必ず戦略的な運用が求められます。
そもそものコンテンツマーケティングにおける狙いや目的を明確化し、ターゲットやインサイトを理解した上で運用していく必要性が非常に高く、コンテンツ自体の内容やボリューム、キーワードなどにも大きく影響してきます。
例えば、タイトルから小見出し、本文の内容など多岐にわたる言葉をターゲットのニーズとマッチングするキーワードを選ばなければなりません。

もちろん、データを取り扱うマーケティング会社やビッグデータをもつ企業などはフルファネルでのコンテンツマーケティングを目的としており、内容も運用も流石の一言ですが、中小企業や予算の少ない人事部ではそのような大規模な運用や戦略立ては非常に難しいのも現状です。予算の都合やマーケティング知識の不足、人事担当者のキャパシティや運用のプライオリティの低さなど複数の要因が重なり、正しい運用ができていない場合が多いと考えられます。

オウンドメディアではセグメントされたターゲットを見る

コンテンツマーケティングの定義が広いこともあり、全てを視野に入れて考えるととてつもないデータが必要となるので、ここではオウンドメディアを中心に考えたいと思います。

さて、企業が持つ年間採用予算のうち、投資先の多くは求人メディアです。
大手求人メディアでの広報活動は現在の日本では、まだまだなくてはならないものであり、この予算は確実に確保されるものだと思います。また、新卒採用となれば、通年の採用広報が必要となり、新卒採用サイトを含む合同説明会など多くの予算と時間、キャパシティを投資することとなります。

その中で、オウンドメディアという採用ブランディングはどうでしょう。できれば他のタスクの関係もあり、できれば必要最低限の労力・コストで効果を最適化していきたいというのが本音だと思います。しかし、最適化された自社メディアへの投資は近い未来に採用マーケットに投じられる貴重な人材へのタッチポイントとなります。
今、多くの投資先になる求人メディアコンテンツでは彼らに対してのアプローチは非常に弱く、自社の情報を伝えきることはできません。

自社が提供できるユーザー体験(UX)は何か

例えば、セグメントされたターゲットを有名大学生1年生〜3年生とおいた場合、彼らが求めるベネフィットはなんでしょうか。また、私達のコンテンツで提供できるユーザー体験とは何か?という点を考えるべきです。採用サイトのコンテンツでの多くはロールモデルとなるスタッフのインタビューなどを載せ、それを読ませることで「自分の未来像」「働く姿」を想像してもらい、自分を重ね合わせることで、より具体的な企業で働くイメージを持ってもらうという狙いが多いと思います。それらはひとつのユーザー体験と言えます。
ターゲットとなるユーザーがコンテンツにつながるアクションを起こす際に、何かを求めてやってきているわけです。ターゲットがアクセスした際に得られるベネフィットが適正であるかを検証し、誤っている場合は修正していくことが非常に重要にもなります。

蓄積されるユーザーの動きと傾向

実は、このような運用は一般的な採用サイトでは難しいのも事実。なぜならば、採用サイトはPDCAを回すような運用を前提で作られているケースが非常に少なく、最初の設計段階で誤りがあった場合、補正し、正すことが非常に困難となります。それに比べ、オウンドメディアなどは記事単体での動きから全体の動きなどユーザーのアクセスを読み取ることで、日々方向性の修正からコンテンツの見直しなど、PDCAを正しく回すことが非常に容易な点にあります。また、そのユーザーの解析データを基に、スキーム全体を設計し、採用コンテンツに反映させた場合、仮説立てからの設計ではなくデータに基づいた設計が可能になり、効果的な採用サイトを作り上げることができます。

まずはターゲットとのタッチポイントとして考える

コンテンツマーケティングが持つ可能性は非常に多くありますが、その可能性を広げるためには多くのマーケティングのナレッジとノウハウ、データが必要となります。それらは人事の作業の片手間に得られるものではなかなかありません。まずはどのポイントでオウンドメディアを使うかを明確化し、1点に集中し、分析をしていくことをおすすめします。

ターゲットの持つインサイトを理解する

大体が先程述べた通り、タッチポイント(集客)での活用が多く、また認知度を上げる上では効果的なものとなります。これらは認知度を上げるため、なかなか利益・効果に直結されたものではないにしろ、今後の採用メディアや採用サイトをみてもらうための重要なポイントとなります。
その際にターゲットが持つインサイトを理解し、そのインサイトに応えるコンテンツを提供することが非常に大事になります。

学生の多くは企業を調べる際、何を調べるでしょうか。
働くやりがいや企業の素敵な取り組みを探すと思う方はもしかしたら運用で苦戦するかもしれません。
多くのターゲットは不安・不満を抱え、その不安や不満を解消することや回避することをまず考えます。

例えば、多くの学生は収入を調べます。では、彼らはなぜ収入を調べるのでしょうか。これらは中途採用でも同じことがいえますが、「ちゃんと安定した(高)収入が得られるのか」を調べ、自身の生活における安心やなりたい姿が可能かどうかの安心を得たいのです。
また、離職率や平均残業時間などをSNSやネット掲示板、ブログなどの記事を探します。

もしくは、ネットではなく大学のサークルの先輩などの話を聞いて、事前にリアルな声を自分でヒヤリングするケースもあります。そんな不安を抱えている人に、都合のいい情報や素敵な取り組みの話を一方的に読ませようとしても、彼らは興味をいだきません。つまりそれはプッシュ型のうんざりする広告と同じになるのです。
まずは彼らが何を不安に感じ、何を得たら安心するのか?を分析する必要があるのです。

ターゲットが検索するキーワードを分析する

インサイトの分析が終わると、そこからどんなキーワードで検索などをかけるのかを読み取ることが可能になってきます。例えば、GoogleやYahooのキーワードアドバイスツールなどでコアとなるキーワードを中心に関連キーワード、検索数、年齢、性別などのデータを読み取ることができます。
これらを活用し、彼らが自発的に検索したオーガニックキーワードで自社のオウンドメディアに呼び込めるようにコンテンツ内容を吟味することも非常に重要です。

拡散はSNSなどのコミュニティ

現在のSNSではFacebookを始め、TwitterやInstagramなど多くのSNSがあります。各々ユーザー層に若干の違いがあり、それぞれ違うインサイトを持つ人材プールを持つ貴重なコミュニティとなっています。
例えば、Instagramであれば、若い女性などに人気があります。エンジニアなどの技術職はFacebookよりTwitterのほうが多いというデータもあります。
近年、圧倒的にシェアを獲得しているのはLINE、次点でYoutube、世代により異なりますが、FacebookやTwitterなどが続いています。

総務省「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」 (2016年8月発表)の調査結果報告書

目指すのはシェアされるコンテンツを

ターゲットとなるインサイトと関連キーワード、そしてベネフィットが正しくマッチングされることで、人はシェアをすることを視野に入れます。逆を言えば、興味ない情報はシェアされないということでもあります。
また、シェアはブログ自体の記事でされるものではなく、SNSなどを使って、情報をシェアされていくことになります。つまり、ユーザーが拡散してくれる営業として働きかけてくれるのです。
FBなどの場合閲覧者を増やすことと同時にシェアされることを必ず視野に入れることが大事になります。
SNSなどのシェアはマス広告と比べ、非常に効率よくターゲットからターゲットへ情報伝達が行われる効果的な広告となります。

効果測定からPDCAを正しく行うこと

コンテンツマーケティングに必要なのはコンテンツ制作力もありますが、アクセス解析などを含む効果測定がとても重要になります。
ただ、同時に効果測定が難しい部分であり多岐に渡るユーザーデータが入り乱れる中から必要な情報を取り出し、ユーザーの動向を探り、効果を向上させるためのコンテンツクオリティの向上を狙います。

具体的な解析は専門的な知識が必要となるが…

具体的かつ専門的なデータの解析、そこから導き出される戦略的な運用は専門的な知識などが必要になりますが、得られているデータやコンテンツ自体は財産として蓄積されていきます。また、このデータの蓄積が長い時間をかければかけるほど、比較なども含めて解析が可能になり、PDCAを効果的に行うことが可能となり、そのデータを基に採用サイトや採用メディアの効果向上に活用できるはずです。

世の中には多くの情報が溢れており、従来のプッシュ型はユーザーに煙たがられプル型の広告手法が主流になってきている昨今、今後の効果的なユーザーとのコミュニケーションの形成を考える上で、統計的なデータを軸に、社内の戦略的な取り組みを考えることは不可避となっていくはずです。

Posted by
TADASHI YOKOYAMA / WEB DIRECTOR / DEGITAL MARKETING PLANNER
メディア制作運用会社、求人広告代理店にてウェブ担当者を経て、デジタルマーケティングをリクルーティング分野で活かすため㈱アールプラスの起業メンバーに加わる。2017年にCOO退任後、カラビナへウェブ戦略・ウェブディレクター担当として入社。ウェブ戦略からデザイン・マークアップによるプロダクトを提供。

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