何でもかんでも人の心を動かせばいいんだっけ?
面接時や実際に当社に入社したスタッフに「どういうコピーが好きですか」と聞くことがあります。みんな色々と答えてくれるのですが、「どうしてですか?」と聞くと、「その言葉が好き」「元気がない時に元気をもらえたから」といった答えが返ってきます。うん、確かにコピーってそうだよな!人の心を動かすって素晴らしい!
けれど、その後に、じわっと湧いてくる嫌な感覚が。そう、この人たちは、言葉は好きかもしれないが、広告は好きなんだろうか?ファンではあるかもしれないけど、プロの側に立てるのか?という不安・・・・。
コピーの向こうに潜む、戦略を見抜きましょ。
そうコピーって、「自分がいいな」って思うことを書くだけでいいわけじゃない。全てが作戦の塊です。こんな球を投げたら、相手はどう受けとめるのだろう?を計算できる頭脳は必須アイテム。となると、コピーライター志望の皆さんに期待するのは、そのコピーの裏側にある戦略を見抜けているか?あるいはせめて、見抜こうとしているか?ということになります。
その商品は、その企業は、なぜ、そんなコピー(つまり、そのコミュニケーションの仕方)で人の心を動かそうと思ったのか?ほかにも、いろいろな動かし方があるよね?その中で、なぜ、このやり方を選んだの?その狙いは何か?他に、もっといい方法なかったのかな?などと広げて考えているか。
何となく、ですが、それが上手に文章を書けることよりも、よっぽど重要な力だと思うのです。ほらね、例えば映画を好きな人が、必ずしも、映画を作れる人にはならないように。「ああ、好きだ」という観客目線しか持てない人は、どうぞこれからも最高のコピーの消費者でいてください。その方が、安全ですよ、とも思うのです。
誰でも書ける日本語を駆使して、誰でもできないことをする。
いずれにせよ、戦略がなければ、コピーに価値なんかない。そもそもコピーとは、文章であり、日本語が使える人ならば誰でも書くことができるのです。そのように参入障壁の低い仕事であるからこそ、まずは、「受け手」という一つの立場からだけモノを見るのではなく、送り手の視点や想定されるターゲット、あるいは、異なる人などの多様な視点で、そのコピーや広告を見つめる練習をする。
それが、まずは、コピーライターになる最初の一歩だろうと思っています。
(いや、だから!その戦略が好きなんだよ!と思って、コピーライターを目指している人は、どうぞ、我が社の門戸を叩いてくださったら嬉しいっす。)