化粧品のブランディング。7年分のノウハウ、教えます! | カラビナ
CREATIVE / DESIGN
化粧品のブランディング。7年分のノウハウ、教えます! | カラビナ
2021.12.01
POSTED BY TAKASHI NAKAJIMA
#化粧品 #ブランディング #ナレッジ

化粧品のブランディング。7年分のノウハウ、教えます! | カラビナ

私たちカラビナでは、とある外資系化粧品メーカーのプロモーションを担当させていただいております。社名は出せませんが、もう7,8年近く関わらせていただいている私たち。そんな中で、少しずつ蓄積されてきた知見や思いを公開してたいと思います。

たとえば国内ブランドと外資系ブランド。
よく見ると、広告戦略の特徴が違う。

戸部:私たちが担当しているのは、外資系メーカーの中でも、かなり特徴的というかブランディングがしっかりされているお客様。その分、コピーを開発していく難しさはありますね。たとえば、多くの人がイメージしやすいのは、国内化粧品メーカーの広告だと思いますが、ほとんどが有名女優やタレントを使っていますよね。大手メーカー2社が有名女優を2分して契約していたり。

中島: CMに出ているタレントを見ることで、どんな世代で、どんな価値観の人を対象にしているか、すぐにわかる良さはありますね。

戸部:その通りだと思います。特にスキンケア(基礎化粧品)やファンデーションだと、その方を通して「なりたい肌」を表現できるメリットがありますよね。製品やコンセプトの代弁者として「モデルやタレントが機能している」。そういうマーケティングがすごく日本っぽいわけです。

西野:外資系はどうなんでしょう?

戸部:あくまで百貨店などに置かれている外資系ブランドで考えると、割とサイエンスによった訴求をする企業が多いイメージです。「D N Aを何とか・・」のように、エビデンスを重視していてビジュアルもソリッド。とても迫力あるアプローチが多くて、すごく「効き目感」がある印象。

中島:そうやって考えると、私たちが担当しているお客様は、そのどちらでもない戦略をとっているんですね。

戸部:その通り、そのユニークな戦略がレッドオーシャンに見えていた日本の化粧品市場で、メキメキと頭角を現した理由だと思います。ヨーロッパのブランドですが、他の外資系メーカーとは異なる切り口が、女性の心を掴んだのでしょうね。

西野:担当させてもらって感じるのが、ヨーロッパの伝統的な暮らしの知恵や自然の力をとても大切にしているブランドということです。

戸部:それだけに、化粧品としてどう効果がある感じを出すのか。いわゆる外資系に見られるような強いコピーを書けばいいわけでなく。国内メーカーで見られるような「女性の生き方や価値観に寄ったコピー」でもダメ。機能性とブランドが持つ夢のある世界観をどう伝えるか。そこにいつも悩みますね!

「買ってもらう」ことと
「ブランドの世界で楽しんでもらう」こと。

西野:こちらのお客様のコピーを書く上で、明確に気にしていることって何かありますか?

戸部:とてもシンプルですが、ネガティブな表現を使わないこと、なんです。たとえば、「お肌のダメージ」といったネガティブワード。たとえば以前、“錆びない人“という名作コピーがありました。ここはそういう表現は基本N Oです。コピーライターとしては苦しいところがありますが、何年もやらせていただく中で、最近はすごく納得しています。実は、私自身も昔、駅で「錆びない人」という化粧品のポスターを見た時、暗いイメージが残ってしまったんです。”すでに錆びを意識する年齢に入っているのね“とか”何か、必死に争っている感じ“とか。結果、モデルを務めた有名タレントが”錆びている人“に私には見えた。コピーとしては強いけど、本当に商品をよく見せているのかな?今だとそう思うようになりました。

中島:リードコピーでもポエティックな表現が求められますね。

戸部:有名テーマパークではないけれど、ブランドの世界の中はある意味“夢の国”。そこでは悲しいことや辛いことはない。そういう“おもてなし”を大切にしながら、しっかりと機能を伝えて、ご自分の「なりたい姿」へ近づけると感じていただく。これはこれでコピーライターとしての技術がいるのかな?と感じています。まぁ、ネガティブに伝えると一見面白く見えるけれど、後味として品がない感じになってしまうものだし、それをダイレクトに言われた側は、突然、“聞きたくもない自分の課題“を突きつけられた気がしてしまうこともある。

西野:ネガティブなことを言われると印象が悪くなるのは、なんとなく分かりますね。

戸部:あまりテレビCMなど打たないけれど、しっかりとブランドとして根付いている。だから、私は、この仕事を通して、“コピーライターが勝つ”仕事ではなく、ブランドの世界をじわじわと作っていく仕事の仕方を学んでいる気がしています。

中島:ブランドならではの世界観を、守りながら書きながら更新していくシゴト。そして、広告を見た人をいかに“もてなすか”。この視点は、これからも大事にしていきたいと思いました! ・・・・・

さて、第一回目はいかがでしたか。国内化粧品メーカーと外資系ブランドとの比較をしつつ、また一味違う、お客様の表現について考察してみました。効果や効能をきちんと伝えながら、そこにある世界観も素敵に表現する技術。この両立がいつも大事だなと改めて思わされる機会になりました。次回もぜひ、お楽しみに!

Posted by
TAKASHI NAKAJIMA / DIRECTOR / COPYWRITER

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