「がん」コンサルタントの先生の話から、気づいたこと。
先日、仕事でがんの治療コンサルタントを行うドクターの話を伺った。
がんは、3Gといい「頑固、我慢強い、頑張り屋」が危ないそうで、そうした方は健康の当たり前基準が非常に低くなっていることが多いそうだ。
たとえば、お通じがないことが当たり前だったり、偏頭痛が普通だったり。
などと言うと多忙な現代人の大半が当てはまってしまいそう。
なるほど、「二人に一人ががんになる時代」とは、まさにとも思う。
さらに、がんは治療して終わりではなく、再発の心配もつきまとう。
それについて、先生が語っていたことも興味深かった。
がんは生活習慣病で、3Gをやめる、つまり生活そのものを見直すことが大切なのだ。
病気というと、痛んだ臓器やウィルスといった局所に目を向けてしまい、それを取り除くことが治療だと想いがち。
けれど、そうじゃないんだ。
やはり、まるっとひとつのカラダ=人間なんだよね、と腑におちた。
と言いながら、ふと、この発想は、私にとって馴染み深いものと思い当たった。
なぜなら、父が針灸師で幼い時から、「病気は部分だけ、治療してもダメ」「体は冷やさない!」などと、口を酸っぱくして刷り込まれたからだ。
急性期に強い西洋医学に対して、未病の考え方を重視する東洋医学。
どちらが正しいではなく、その場に合わせて使い分けるべきもの、なのである。
企業も一つの身体、だから、内側からゆっくり変えることも。
などと整理しているうち、ふと、これは私たちが取り組もうとしていることに似ていると思った。
企業ブランディングの足元作りとして、ビジョンや社員間のコミュニケーションを活性化して、組織をよくして企業を強くしていくという発想は、ホリスティックで東洋医学チックなのだ。
一方で、DXやIT化などは、急性期に活用する外科手術にも似ている。
いや、もっと、わかりやすいのは事業譲渡やM&Aかもしれない。
企業を人体に例えば、M&Aは移植手術やスーパー義足を装着するようなものだ。
一方、組織で働く人の心を前に向かせ、力を蓄えたり、互いの関係性をよくしていくのは、日々、ていねいに漢方薬を煎じて飲むとか、ハーブを暮らしに取り入れることとも似ている。
即効性はないが、少し年月が経つと、いつしか見た目年齢や健康診断の結果なんかに響いてきそうな。
光あふれる草原を生み出すような組織コミュニケーションを。
企業にせよ、人体そのものにせよ、症状を改善する方法は、多いに越したことはない。
大至急、命を救うなら大胆な方法が選択されるし、リストラやM&Aのような大手術の後こそは、内面から癒しエネルギーを湧き起こすような療法がよいのだろう。
そういえば、ドクターは言っていた。
がんを退治するには、がんが大好きな環境をなくすこと、だと。
ゴミ屋敷のような環境にドブネズミやゴキブリがはびこるように、体も辛く疲弊した環境では悪いものが力を持ち、のさばっていく。
組織も、同じに違いない。
働く人が心地よい緊張感を味わいながら、切磋琢磨を楽しめる環境は、たとえれば明るい陽の当たる草原。
そんな心地よい風を呼び込んでいくコミュニケーションを、しっかり作っていける存在になろうと、ひらめくもののあったインタビューでした。