メンバーと「感覚的」な話をはじめた同級生
大学でブランド戦略論を学ぼうと思って、組織論にひかれた私。
どちらも、いま、必要な学びでしたが、あえて「もやっと」感のある組織論を選択しました。
どんな方向に企業が向かっても、どんなよい戦略があっても、実行する「組織そのもの」の状態が悪ければ、すべて絵に描いた餅になってしまうだろう、という思いもあって。
先日、ゼミの中で、社員同士が感覚的な会話ができていたり、意思疎通できていると組織の創発は生まれやすい、という話で盛り上がりました。
というのも、ゼミの同期生は、ご自分の会社でメンバーとなるべく感覚的な会話をするように心がけてみたそうなのです。
そこはIT企業。
とても、デジタル&ロジカルになりやすい風土。
だから、これまであまり「気持ち」や「感覚」を軸に会話してこなかったそうです。
さらに、システムエンジニアやプログラマーという仕事を選ぶ人たちの多くが、言葉より数字で語ったり、面と向かうよりチャットで伝えあう方が心地よいという側面もあったはず。
そういう空気を同期は意志を持って変えにいってみたそう。
最初のうちは、みんな戸惑っていたそうですが、この頃は、少し変わってきたみたいで。
小さな変化から即座に創発が生まれる訳ではないものの手応えを感じているようでした。
嬉しいですね。
前職の「文化」をひきずっているメンバーたちと働く
一方、思ったことを率直にぶつけあう組織風土で育ってきた私にとっては、感覚の共有はあたりまえのこと。
だからこそ、他社にこのような課題があること、実は気づけていなかったんです。
でも、思えば自分のいた環境が特殊だっただけ。
ですから、自分が経営する当社であっても、これは課題になっています。
理由その1は、中途採用が中心で、前職のコミュニケーションスタイルを引きずってきていること。
オープンマインドで構えていられる人とそうでない人、共感性の高い人もそうでない人もいる、と。
お客様と向き合いながらも、自社の文化とも、悩みながら向き合ってきたのが、今の状態です。
リモートワークが試す、日頃の、関係性
そんな中、リモートワークが中心で、対面打ち合わせという手法が閉ざされた今、改めてこの感覚共有の大切さに気づく機会がありました。
先日、メンバーとある提案のミーティングをオンラインで行ったのですが。
4名ほどで企画書を見ながら「あーでもない」「こーでもない」と盛り上がりました。
単なる指示型のミーティングにならず、一人の“直感“を真ん中に、みんなが「こう思う」「こういう意味なの」と理解し合い、さらに違う視点からヒントをくれたり。
そのうち、みんなで話し合えたからこそ生まれたキースライドが、完成。
終わった時には、心地よい達成感が残っていました。
「なんだ、オンラインでも全然、いいよね」と一瞬、思いかけましたが、まてよ。
これが1年前の私たちでできたかと言うと疑問かも。
いろいろありながらも、チームのメンバーたちが、少しづつ感覚を共有しあえる関係性に近づいてきたのかもしれないと。
会社とは人の集まり。
だから、傷ついたり、時に信じられなかったり。
それでも、気持ちを立て直して、互いのいいところを見直したりしながら、一緒に過ごした故の「場」。
あれは、ひょっとすると組織論で学んだ現象の一つなのかも、と思いました。
そこに必要なのは、自分ではない誰かの感覚を信じきり、知ろうとする思い。
みんなの身体を通ることで、企画がもっとよくなるはずと素直に期待するスタンス。
そうなれば、みんなで、もやの向こうにある宝の山にたどり着くことができる。
一方で、こうした関係性になっていない組織にとってオンラインworkへと比重が移されていく未来は、どのようなものになるのでしょうか。
イノベーションが求められる時代に、働き方の「かたち」だけでなく、こころの繋ぎ方について、これからも考えていきたいと思いました。