組織変革は、まるで氷を溶かすように。 | カラビナ
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組織変革は、まるで氷を溶かすように。 | カラビナ
2022.04.06
POSTED BY FUMI TOBE
#組織変革 #ナレッジ #組織

組織変革は、まるで氷を溶かすように。 | カラビナ

中途で入社した社員がなかなか組織に馴染まない、とか、M&Aや事業買収をした後にうまく融合できない。これは、よく耳にする話です。買収などでは感情的なしこりが残っているからでは?などと、気持ちや関係性のせいにされがちですが、実は、その人がこれまで身につけてきた組織文化が邪魔をしているからなのです。組織文化とは、その企業で働く人が共通で持っている価値観や行動様式のこと。たとえば、同じ業種でも「動きながら考えることが大切」という文化と「入念に考えた上で行動すべし」という文化の中ではまるで違う人材が育っていきますよね。このように、それぞれの企業ごとに様々な考え方のクセ、善悪のインナールールのようなものがあり、それが組織の中に、強固に染み込んでいるため、買収されたり転職したとしても、なかなか、新しい価値観や文化を吸収できないということなのです。
このような組織変革に必要なプロセスを社会心理学の父と言われるクルト・レヴィンは「解凍」→「変化」→「再凍結」と言っています。
氷のように、その人の中に浸透して固まっていた考えを一度、溶かして、新たな考え方を入れて再び凍結させるということです。
人の考えを氷に例えて、あたかも人が製氷皿に入っているかのようですが、満更、誇張でもありません。実際に、人は自分で気づかないうちに、一つの職場から独特な価値観を植え込まれてしまっているんですね。よって新しい文化を取り入れてもらうには、兎にも角にも時間がかかります。自分が持っていた古い価値観に自ら気がつくことや“それがもはや使えないもの”であると気づき、新たな考え方の有用性や必要性に腹の底から気づくことも必要です。

これはお作法のようなものでもありますね。たとえば、リクルート出身の私だと入社してすぐに、「アポに必要なら社長を連れていってもいいんだぞ」と仕込まれました。どっちかと言うと、そうやって偉い人をどんどん使う方が良い!イメージ。他の部署の偉い人にもガンガン声をかけて自分の仕事に巻き込む人が優秀である!と言う価値観を植え付けられて育ちました。ところがこの前、日本で一番、大きな広告代理店に勤めている人と話したら、隣の部署の部長にそれより位の下の人が直接、話しかけたりしたら「かなり失礼なやつ」と言う扱いになると聞いて卒倒しました。一見、そこまで遠くない業界ですが、どっちから転職しても、しばらく馴染むのには時間がかかるのだろうと感じますよね。
最近、歴史ある大手企業などで、過去から培ってきた文化を変えるための取り組みが数多く行われています。組織文化というのはある日突然、できるものではなくて、じわじわと染み付いていくものであり、当然、企業の事業環境に合っていたからこそ定着していったもの。それを時代の変化スピードに合わせて変えるのは、本当に容易ではない。そこで、いじりやすい評価制度などの仕組みから変えて強制力を発動しようとするケースが多いのですが、あまりワークしないのにも、こんな背景があるからなのです。
かく言う私は、“自由で自律的な文化こそ最高“と言う思い込みのフレームを持っていますし、それが、メンバーとのコンフリクトの原因にもよくなっていますよね(笑)。反対に、うちのメンバーは、もっとルールや枠組みがあった方が、ビジネスの再現性が高まると考えていると思います。(ごもっとも!)

というわけで、あなたはどんな価値観・行動様式を持っているのでしょうか。それはどの企業で、または、どのプロセスで身に付けたものなのでしょうか?時には棚卸しをしてみるのも面白いかもしれませんね。

Posted by
FUMI TOBE / CEO / CREATIVE DIRECTOR
代表取締役 クリエイティブディレクター/コピーライター 心理学科卒 91年 株式会社リクルート入社。ベンチャーから大手企業までの企業広告、ブランディングに関わる。2000年、クリエイティブディレクター/コピーライターとして独立。TCC会員。 【受賞歴】 東京コピーライターズクラブ新人賞/産業広告賞/福岡コピーライターズクラブ賞/東京コピーライターズクラブ ファイナリスト/BtoB広告賞金賞 など

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